NumberPREMIER ExBACK NUMBER
「絶対に2m超の選手には負けたくなかった」西田有志が明かす“エースの心得”…ギャップをどう埋めた?「自分の理想像は自分で作り上げたい」
text by

藤森三奈(Number編集部)Mina Fujimori
photograph byNanae Suzuki
posted2024/12/20 17:01
人気動画シリーズ「Number Volleyball Night」で西田有志が「オポジットとは何か?」を明かした
西田 身長が小さいからオポジットは無理という概念は今でもぬぐい切れない。自分も2mあって今のプレーができたら絶対いいと思うけど、そんな無いものねだりにこだわっていても、得るものは何もないし、損をするのは自分。それなら今のプレースタイルで真っ向勝負して海外選手に負けないような努力、工夫をしようと思ってきました。
18歳のころ、福澤さんと一緒にプレーをさせていただいていた時は、無茶苦茶打ってブロックアウトを取るというプレースタイルでした。それがうまくいった時もいかない時もあったので、常にうまくいくように、ブロックに対してこういう意識で行こう、逆に自分が対面したときにこのコースで打たれたら嫌じゃないかと客観視するようにしました。海外選手と対峙したときには、そういったところからスタートしました。絶対に2m超えの選手には負けたくなかった。自分はどう対策をとって、どう点数を取るのか、今も考えています。自分なりの正解を導くことが自信につながるんです。
自分の理想像は自分で作り上げたい
福澤 世界のオポジットで西田選手が刺激を受ける選手はいますか。
ADVERTISEMENT
西田 今現状では、理想というかああいうプレイヤーだったら楽だろうなと思うのは、アンダーソン選手(米)ですね。アメリカ代表の試合は、常に4枚(攻撃に)入るシチュエーションが多い。アメリカはそのシステムにはめている。パリ五輪で見たのは、S4かS3のとき、アンダーソン選手はパスをしてそのままパイプに入ってデファルコ選手が下から打つ。何て言ったらいいか……、ロマンがある。ひとつのオプションとしてそれが使えるわけです。
アメリカには、相手のブロックに対して7~8のシステムがあるんです。このシチュエーションのときはこっちに走ろう、このときはステイしようというようなのが。ブルテオンにいるジェスキー(米)もそのほうがシンプルでやりやすいと言っています。そういったところも取り入れたいですね。アンダーソン選手は、ディフェンスにも献身的ですし。でも、僕はアンダーソン選手にはなれないので、自分の理想像は自分で作り上げたいと思っています。
福澤 まったく同じことをパリ五輪を見ていて感じていました。オポジットの役割が今後変化していくんだろうなと感じさせるのが、アメリカのバレースタイル。サーブがどんどん強くなっていくなかで、パスができるオポジットがいるのはすごく強みになる。そこからオプションでポジションが変化していける。バレーボールがどんどん高度化するなかで、ポジションレス――ポジションがなくなっていくバレースタイルになるんだろうなと思う。点取り屋だと思っていたオポジットが、サーブレシーブに入るのもそう。西田選手の身長だからこそできるプレーもあるだろうし、新しいトレンドを作っていってほしい。
西田 はい。
1カ月で5〜6kg減量
福澤 パリ五輪の話が出たけど、西田選手のパフォーマンスは安定してよかったですよね。ドイツ戦20点、アルゼンチン戦21点、アメリカ戦18点、イタリア戦22点と得点し、サービスエースもたくさん取っていた。自身の手ごたえはどうでしたか。

