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「あぁ、ついに来たか」戦力外通告の非情な電話…“27歳で引退”大田阿斗里はなぜプロ野球選手から警察官に? 運命を変えた“最後のトライアウト”
posted2024/12/21 11:04
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph by
JIJI PRESS
苦難のデビュー10連敗「常に戦力外が頭の片隅に…」
ルーキーイヤーとなった08年、早くも一軍マウンドを経験した。1年目から5試合に登板して、9月25日、甲子園球場で行われた阪神タイガース戦では先発マウンドも託された。
「序盤は抑えていたんです。でも、1点を取られた瞬間から頭が真っ白になりました。そこからは身体が宙に浮いた状態で投げているような感じで、気がつけば5失点。ずっとファンだった金本(知憲)さんを三振に打ち取ったのは覚えているんですけど、それ以外のことはあまりよく覚えていません」
プロ1年目は、防御率8.03というほろ苦い結果に終わった。それでも大田はまだ19歳。彼の目の前には明るい未来しか待ち受けていないように思えた。
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しかし、プロの世界は厳しかった。入団から5年が経過しても、一度も勝ち星を挙げることはできず、史上6人目となる「デビュー10連敗」という不名誉な記録を作ってしまった。
「6連敗ぐらいまでは悔しさも強くて、かなり引きずっていました。でも、それ以降は連敗のことについてはあまり気にせずに、自分の与えられた場所で一生懸命投げることしか考えていなかったです。とはいえ、プロ4年目ぐらいからは常に《戦力外通告》が頭の片隅にはありました」
それでも、球団は大田との契約を続けた。そして、プロ6年目となる13年5月に一軍登録される。6月22日のタイガース戦では、1点リードの5回表2死満塁の場面で2番手投手として登板すると、6回表まで無失点に抑え、チームは勝利、待望の一軍初勝利を挙げた。
「この瞬間、“これでようやくプロ野球選手になれたな”という思いはありました。でも、そこまでの大きな感動はなかった気がします。それよりも、それまでもちょくちょく一軍では投げていたので、僕がプロ初勝利だということを周りの人が気づいていなかったことの方が印象に残っていますね(笑)」