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予想を超える打診に「正直びっくりしました」細貝萌(38歳)は引退後、なぜJ3クラブの社長兼GMを受け入れたのか?「俺がやるしかないって思えた」
posted2024/12/19 17:01
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
予想を超える打診
まったく予期していなかった。
細貝萌が現役生活にピリオドを打つと決めた10月、チームにその旨を伝える場でのこと。クラブ側から代表取締役社長代行兼GMへの打診を受けたのだ。
「引退の話をした後に、実はこういうふうにクラブとしても考えていると赤堀(洋)社長から言っていただいて。僕はザスパに来たときに『ここで終わると決めています。移籍することはありません』と伝えていて、僕自身、引退してからも何らかの形でかかわっていけたらとは思っていました。実際、クラブからもそう言われていました。でも予想を超える打診だったので、正直びっくりしましたね」
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家族とも相談したうえでオファーを受け入れ、2月1日付での就任が決まった。4月に予定される定時株主総会を経て正式に就任する予定だ。赤堀社長が代表取締役会長に、前橋育英高時代の恩師でもある山田耕介会長が取締役相談役になる。J3降格をきっかけに、クラブは新たな陣容でスタートを切ることになった。
プロアスリートとして妥協のない毎日を送ってきただけに、家族と少しゆっくりする時間をつくることも頭にはあった。だがプレーヤーとして存分に自分の力を注ぎ込めた実感を持てなかったこともあり、ピッチの外から貢献できるオファーは自分がやるべきことだという思いに至った。
「ドイツをはじめ海外でプレーしてきて、特に欧州のクラブは地域密着がしっかりとあって、だからこそ応援の熱も凄い。群馬にはザスパがあることをもっと誇らしく思ってもらうためのクラブにしていきたい。そのために僕自身の力をすべて出したいと思っています。赤堀さんが会長になって、事業戦略や管理部門など引き続き見ていくことになり、自分がフットボール部門を中心に取り組んでいく。ただそのように分けているとはいえ、社長を務める以上、数字面、経営面のことは把握しなければなりません。実際今クラブの内情を少しずつ理解しているところです」
妥協しないのは、まさに細貝の真骨頂でもある。パートナーを含め関係各所へのあいさつなど早速、精力的に動いている。
なぜザスパへの思いが強いのか?
細貝は、なぜここまで地元への、そして生まれ育ったクラブではないザスパへの思いが強いのか。そうストレートにぶつけると、彼はこのように応じた。