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「彼らをサイボーグのように見ているのかなと…」高校駅伝“留学生3km区間規制”に元・仙台育英高監督が思うこと「本心で言えば残念です」
posted2024/12/22 11:02
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by
JIJI PRESS
全国高校駅伝――すなわち都大路と留学生の歴史は、今から32年前の1992年までさかのぼる。
この年、宮城県代表の仙台育英が初めてケニア人留学生を送り出した。そして翌年、男女ともふたりずつ留学生を起用した同校が、史上初のアベック優勝を遂げている。
留学生の次元の違う走りは、日本人選手や観客に大きな衝撃を与えた。しかし同時に、一人で全体の勝敗を決めてしまうほどの圧倒的な力ゆえに、その起用について批判も噴出した。そこで高体連は1994年に、留学生のエントリーは2人、出走は1人までという規定を設けている。
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ただその後も2007年まで、最長区間の1区はケニア人留学生が区間賞を席巻し続けた。
2008年には男女とも留学生の起用は「1区を除く区間」という規定に変更。その結果、男子は2番目に長い3区(8.1075km)か4区(8.0875km)、女子は先行逃げ切りを図るための2区(4.0975km)かアンカーの5区(5km)が、事実上の“留学生区間”になっていた。
徐々に行われてきた「留学生規制」
こうして徐々に制限が設けられてきたものの、留学生の走りが勝負に大きな影響を与えてきたことは否めない。
実際、08~23年の16大会のうち、男子11、女子7大会で留学生を擁するチームが優勝している。前回の都大路で、神村学園高のアンカー、カリバ・カロライン(現・日本郵政グループ)がラストのトラック勝負で仙台育英を逆転し、優勝を果たしたのは記憶に新しい。
今年の都道府県予選から適用された「留学生は最短区間に限定する」との新ルールについて、日本陸連や高体連などでつくる大会実行委員会は「留学生の特性の一つであるスピードを最短区間で発揮してもらい、そこに挑む日本人選手のスピード力向上を期待したい」としている。だが、それは表向きの理由で、実際は「走る距離を短くすることでレースへの影響力を減らす」という意味合いのほうが強いのだろう。