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「イヤイヤ期に来ていて…」フィギュア世界女王・坂本花織が“表彰台に乗れただけ”でホッとしたワケ「自分の性格に救われている部分も」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAFLO
posted2024/12/15 06:30
フィギュアスケートGPファイナルでは思ったほどスコアが伸びず銅メダルだった坂本花織
「ジャンプは慎重に行き過ぎました。中野(園子)先生からも言われましたが、『世界選手権も4位から優勝に這い上がれたので、その経験を生かす場面だ』と。しっかり切り替えていきたいと思います」
フリーまでは、なか1日空くスケジュール。中野コーチやトレーナーと話し合いながら、練習を組み立てていった。疲れや緊張からくる身体の変化や、いつもと違う質の氷を見極め、合わせていく。これまでの経験値が生かされる場面だった。
「まずトレーナーさんと身体の動きを細かくチェックしながら、どこが普段と違うかを解明して、どんなトレーニングやケアをしようか、というのを話し合いました。それでも最初はやっぱり噛み合わせが悪くて(ジャンプがハマらず)、その途中で中野先生に『なんかちょっと合わないな、じゃなくて……。合わせるの!』って言われて、『そうだな』という気づきを与えてもらえました。そこからは切り替えて『ハマらない』じゃなくて、『どうやったらジャンプがハマるか』という考え方に変わったので、その一言はすごく大きかったと思います」
フリーはすべてのジャンプを降りたものの…
そして迎えたフリー本番。演技冒頭で、大きなダブルアクセルを決めると波に乗る。
「ショートのような『嫌』という気持ちがなかったので、どんなに疲れていようが体調悪かろうが、フリーは集中できると思いました」
NHK杯ではすでにほぼパーフェクトの演技を出来ていたことから、この試合ではさらに難度を上げ、『3回転フリップ+3回転トウループ』を演技後半に入れていた。より、スタミナが必要になる挑戦的な構成だ。全部のジャンプを降り、フィニッシュ。会場は大歓声に包まれた。
しかし、思ったより得点が伸びず、総合3位。結局、演技後半に入れた3つのジャンプが回転不足の判定で減点されていたのだ。
「大きなミスはなく耐えられたので、それなりに満足はしています。回転不足の判定は妥当だと思います。自分でも後半の3フリップー3トウループは、降りたときにちょっとあやしいなと思っていました。他のアンダーローテーションも自覚ありでした」
むしろ坂本らしさは、この判定をプラスに捉えたことだ。
「自分の感触としては、ヨーロッパの大会は明確にエッジエラーや回転不足をつけるイメージがあるので、自分にとってはすごく良いことです。次の全日本選手権に向けて修正すべき点を示してもらえたということ。全日本までには、持ち味の、高さと幅のあるジャンプをまた復活させるようにしたいと思います」
シニアとジュニアの差について
年齢を重ねるほど、コンディションを保つ難しさを実感した一戦。『ではジュニア女子のほうが強いのか』と聞かれると、こう答えた。