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清原和博から電話「来年は次男が入学します」清原正吾の野球引退“その後”…慶大の恩師・親友が語る進路「アナウンサーより俳優がよさそう(笑)」
posted2024/12/14 11:03
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph by
Shigeki Yamamoto
◆◆◆
慶大監督の堀井哲也にとっても予想外の成長だった。
正直、懐疑的でした
「6年のブランクがあって、大学4年間で果たして形になるのかと懐疑的に思っていました。打つことが彼の長所なんだけれども、バッティングは野球で最も難しい。僕もどう伸ばせばいいか迷っていたんです。でも、彼はこちらの迷いを打ち消すぐらい、とにかく練習をやった。見えるところでも、見えないところでも、バットを振っていた。本当によく頑張ったと思う」
堀井は今春のリーグ戦から清原正吾を「4番ファースト」で起用し続けた。
「成長を促すためには起用したいけれども、結果が出なければ彼ばかり出すわけにはいきません。B戦で頑張っている選手はたくさんいますから。当初はそんなジレンマを抱えていましたが、彼は結果を出し続けた。自分でチャンスを掴み取ったんです。彼自身の明るい人柄も、成長を後押ししたと思います」
堀井は対戦相手のベンチに正吾の父・和博の母校であるPL学園の出身者や、和博とプロの世界で同時代を生きた指導者がいたら、それを本人に伝えた。
「すると必ず挨拶に行って、初対面であってもそれなりの会話を交わして戻ってきました。コミュニケーション能力は高いですよ。何より彼の成長を促したのは幼少期に見た原風景でしょう。プロの第一線で戦う父を野球に取り組むうえで基準にしていた。そこに到達したかはわかりませんけど、可能な限り近づいたと思います」
4年前に正吾が父と共に下田グラウンドを訪ねた時、堀井はコーチを務めていた上田誠(元慶應高校監督)からこんな提案を受けた。「もし正吾君が成功したら、同じような経歴で大学野球に挑戦するケースも増えるのではないか」。その意見に賛同し、堀井は入部を認めた。正吾の活躍は、野球界に大きな足跡を残したのではないだろうか。