「こんな風にお互い結婚して子どもができて、というのは感慨深いですね。カナは学生の頃から20代で結婚したいと言っていたので、結婚した時は私も嬉しかった。当時サプライズで（妹の）未希ちゃんが結婚式を開いたんですけど、私はまだ現役だったので行けなかったんです。私は何もできていなかったのに、あんな風にお祝いしてもらってすごく嬉しかったですね」

大きな期待を背負った大山加奈と栗原恵（2003年）©︎Jun Tsukida/AFLO SPORT

　当時の「メグカナ」フィーバーは熱狂的だった。代表チームの中では新顔である2人に常に注目が集まり、2人が揃うとカメラのレンズが一斉に向いた。大山さんは2019年のNumberWebのコラムの中で、「こんな状況で自分たちばかりが注目されていいのだろうか、と先輩たちに対して気まずさを感じ、自然にメグと距離を取るようになりました」と当時のことを振り返っている。

「そうですね。自然と距離を置いてしまうというか、置かざるを得ない環境でした。お互いに若かったので、うまく表現できなかった。同じポジションを競い合っているので、どちらかが入ってどちらかが入っていない、っていうことが繰り返される中で、かける言葉1つで相手を傷つけてしまうかもしれない。声をかけても今調子がいいからそうやって言えるんだろう、と思われちゃうかなとか、考えなくていいことまで考えて……結果的に距離を置くという感じになってしまったのだと思います」

「あの頃もっと話せばよかったね、って」

　若さゆえ、うまく伝えられなかったあの頃の思い。2人の関係はお互いに喜びや苦しみを味わう中で少しずつ変化していき、ついにはかけがえの無いものとなった。栗原さんが2019年に現役を引退した後、2人はランチに行き、距離を置いていた10代の頃のことをじっくり語り合ったのだという。

「あの時はああだったよね、こうだったよねと話した時に、本当はあの頃もっと話せばよかったね、って。ただ、あの時は、ああするしかなかったんだよね、という感じの話をしました。今の年齢だったらもっといい言葉で伝えられたことも、当時は考えすぎて、意識しすぎていたんでしょうね。でも今は、こんな風にみんなで集まったりメッセージをやり取りしたり、バレーの仕事の時は同じ時間を過ごせる。あの時があるから、今またこうやって話せるんだなっていうことを感じています」

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