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「逃げなかったら必ず振り下ろします」ダンプ松本が“腹をくくった瞬間”…極悪同盟マネージャーの証言「常に新しい凶器を探せの指令が…」
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伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byKaoru Kage
posted2024/11/29 17:00
一昨年の影かほるの誕生日にダンプ松本から送られた写真
ダンプとは3年間ほど、ほぼ毎日一緒にいた。全女人気の絶頂期である'85年には、芸能界で空席だった“悪役タレント”の枠に見事にハマり、バラエティ番組やドラマの収録、アイドル雑誌や週刊誌の取材、アルバムのレコーディングなど、あらゆる現場に立ち合った。気づけばダンプは、クラッシュ・ギャルズを抜いて全女の稼ぎ頭になっていた。だからこそ、本業で手を抜かなかった。「ダンプは普段はいい人」「凶器もほんとは痛くないんじゃ?」という雑音を、実力でシャットアウトするためだ。
「(後輩が)凶器を渡すタイミングが少しでもズレたら、その場で竹刀で引っぱたかれた。お客さんが見ている前で、だよ。YouTubeで当時の映像を観ると、たまにそのシーンが映ってる(笑)。場外乱闘はほんとに危ないから、自分たちは常にアウさんの動きを観察して、先読みしながらお客さんをどかさなきゃいけないんだけど、それをミスるとやっぱり竹刀でやられちゃう。私は常に斜め後ろで密着して、入場と退場、試合中はどれだけアウさんを動きやすくさせるかが最大の仕事だったから、勝敗なんてどうでもいい。凶器を全部預かってたから、プロレスより凶器渡しのほうが真剣だったよ」
隠し持っていた凶器はフォークにはさみ、チェーンにアルミ缶、紐。「常に新しい凶器を探せ」という指令が下されていたため、工事現場で偶然見つけたドラム缶を差し出したときは、「よくこんなの見つけてきたねぇ」と褒められた。影がキレイに洗浄し、ダンプが塗装して、新手の凶器を完成させた。
ダンプ松本が腹をくくった瞬間
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ダンプ必携の竹刀の痛みを身をもって知ったのは、志生野温夫アナウンサーだ。マッハ文朱が活躍した'70年代中盤からビューティ・ペア、クラッシュ・ギャルズと3度にわたる女子プロ黄金期を実況中継した生き証人。中継番組がフジテレビのゴールデンタイムにレギュラー放送されていたころは、“全女のご意見番”として選手と肩を並べる知名度だった。
「ある日、ダンプが僕にこう言ってきたんだよ。『志生野さん、自分が実況席に行って竹刀を振り上げたら逃げてください。逃げなかったら、必ず振り下ろしますから』って。僕は男のアナウンサーで、まだ50代だったから、『なに生意気なことを言ってるんだ。女の子が竹刀を持ってきたぐらいで逃げられるか。そんな格好悪いことはしないよ』と思って、逃げなかったんだ。そしたら、バーンッ! と殴られた。痛かったよー。ダンプは、僕ら関係者に対しても手を抜かないんだよな。それからはね、逃げるようになりました(笑)」
その予兆はあった。志生野アナは、松本が腹をくくった瞬間を覚えているからだ。
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