当時のアイスリボンには、藤本つかさ、世羅りさ、雪妃真矢などスター選手がひしめいていた。ただでさえ厳しい出世争いの中、格闘技界から鳴り物入りのルーキーが入ってくる。トトロたちの世代からすると、穏やかではいられなかったはずだ。

「そういう気持ちも、今なら少し分かる気がします。でも結局、プロレスラーは試合で分かりあうものなんだなって。試合で思い切りやりあったら、先輩たちの顔つきも変わったんです。“あぁ、認められたんだ”って。それからプロレスが楽しくなりました」

同年デビューのジュリアは「オラオラ系で…」

　プロレス団体だからこその人間関係、上下関係がある。NØRIから見て「これは嫌われるんじゃないか」と感じた選手もいた。自分より少し後に入門、同じ2017年にデビューしたジュリアだ。

　言うまでもなく、後にスターダムでブレイクし、マリーゴールドを経て今はWWE所属。上昇志向が強いからか「いつもギラギラ、メラメラしてましたね」とNØRIは振り返る。

「アイスリボンにはいないオラオラ系で。試合でも何をしてくるのか分からない。私はそこが面白いと思ってましたけどね。何かされても、それこそ格闘技の実力で対処できますし。私としては面白い人だったんですけど、先輩から見るとどうかなって。案の定、嫌われてました（苦笑）」

　今年8月、ジュリアはマリーゴールド最終戦で所属選手、参戦選手全員と1分ずつ連続で対戦。その中にNØRIもいて、久しぶりに手を合わせた。ジュリアにとって「法DATE」（NØRIの旧リングネーム）は思い出深い選手で、デビュー前から影響を受けたという。

「そんなふうに思ってくれてたのは全然知らなくて。嬉しかったですね。新人の頃は気持ちに動きがついてきてなかったから“ケガしないといいな”と思ってました。でも、何か惹きつけられる魅力がある選手だった。自分がプロレスから離れている間にどんどん強くなっていて感動しました。“ここまで人は成長できるのか”って」

ジュリアのマリーゴールド最終戦で再会　©Norihiro Hashimoto

　ジュリアが抜けたマリーゴールドで始まったリーグ戦にNØRIも出場。蹴り主体の激しい試合ぶりで株を上げた。アイスリボンでもマリーゴールドでも短期間ですれ違ったNØRIとジュリアだが、2人だけの関係性があったのだ。

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