- #1
- #2
濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「この子は強いよ」神取忍が認めた…格闘界のホープだったNØRIがプロレスに受けた衝撃「神取さんがRIZINでギャビと…こういうのアリなのか」《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byShiro Miyake
posted2024/11/18 11:00
プロレスとMMAの“二刀流ファイター”NØRI
「プロレスは感情を全部出せと言われる。難しいなと」
2017年からは法、華蓮、華、直の「DATE4姉妹」が女子プロレス団体アイスリボンに参戦する。プロレスでの所属はアイスリボンという形だ。
「代表はなんでもやってみようという人なので。無茶振りじゃないですけど“普通のことやってちゃダメだ!”って(笑)。代表とつっかさん(藤本つかさ。当時アイスリボンの取締役選手代表)が宮城で同郷だった繋がりで、アイスリボンの所属になりました」
アイスリボンは一般向けプロレスサークルを開催したり、出演の条件がプロレスデビューという映画を企画したりとプロレスに携わるハードルを下げ、門戸を広げてきた。
NØRIがプロレスをやるにあたっても、格闘技のベースは大きな強みになった。だが格闘技とプロレスは似て非なるジャンルでもある。
「格闘技では、相手の技はディフェンスするもの。でもプロレスは相手の技を受けるんです。相手の技が効いたとして、苦しくても、格闘技は悟られたり顔に出しちゃいけない。プロレスは感情を全部出せと言われる。痛かったり苦しかったり、負けて悔しい気持ちも。それをお客さんに伝えて共有するのがプロレス。最初は難しいなと思いましたね」
プロレスデビュー戦のカードは「法DATE&藤田あかねvs直DATE&トトロさつき」。NØRIはまず「え、直とやるの?」と驚いたそうだ。確かに、格闘技では基本的に同門対決はない。
NØRIがプロレスの楽しさを感じたのは、格闘技にはないタッグマッチだった。相手だけでなくパートナーの動きも見なくてはうまくいかない試合形式。パートナーの狙いを察知して連携攻撃を決めると、それだけ視野が広がった気がした。
「ケジメがついてない。中途半端でした」
だが、プロレスが面白くなってきたところで試合中にケガをしてしまう。さらに欠場中の2019年、Team DATEがアイスリボンを離脱。MMAに集中してパンクラスでベルトを目指すことになった。新たなスタートの直後、世界をコロナ禍が直撃する。これまで借りていた練習場所も使えなくなった。
「それもあって、家族だけで練習するようになったんです。公園とかで」
Team DATEのDARANIは兄、DATE4姉妹の華蓮(現KAREN)は実の妹。きょうだいで独立することになった。KARENはUFC参戦を目標に、名門THE BLACKBELT JAPAN所属となる。NØRIも自分の路線を明確にする時期が来ていた。
「KARENはパンクラスのベルトを巻いたんですけど、私はタイトルマッチで2連敗。ズルズルとMMAを続けるのも違うなって」
そういう時に、アイスリボン時代の先輩である星ハム子から大会を見に来ないかと誘われた。NØRIは自分がプロレスに思いを残していることに気づく。
「ケガで欠場中にチームがアイスリボンを離れた形なのでケジメがついてない。中途半端でした」