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野村克也もアメリカ人監督も絶賛した“169cmの日本人投手”「メジャーで通用する」「まるでやり投げの投球フォーム」山口高志を“生で見た”男たちの証言
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph byKYODO
posted2024/11/15 11:19
「まるでやり投げのフォーム」山口高志の伝説とは
関西大学でスーパーエースに成長した山口は、所属する関西六大学野球リーグで通算最多勝利46勝、年間個人最多勝利18勝、通算最多完封勝利19勝、連続完封勝利6勝、1季個人最多奪三振100個、連続イニング無失点68回など、数々の投手記録を打ち立て、4年時の「第3回明治神宮野球大会」では、2回戦の慶応をノーヒットノーランの1-0、準決勝の早稲田を2-0、決勝の法政を1-0と3試合連続完封で優勝。進学がかなわなかった早稲田を、その剛腕でねじ伏せてみせた。
米監督「メジャーでも通用する」
また、4年時の7月に開催された「第1回日米大学野球選手権大会」では、一人でオール完投の3勝をあげて優勝の原動力となり、大会MVPに選ばれた。3勝3敗で迎えた優勝がかかる第7戦では1安打完封。唯一の安打を打たれたのは、後にボストン・レッドソックス入りして史上初めて新人王とMVPを同時受賞したフレッド・リンだった。
アメリカチームの監督だったボブ・レンは〈メジャーでも十分通用する〉〈私の二十五年の大学監督生活で初めて出会った好投手だ〉と驚き、日本の4番だった長崎慶一(法政からドラフト1位で大洋に入団)は、〈アメリカはタカシを打てませんでした(略)全米のピッチャーがみんな技巧派に映った〉と語っている(『君は山口高志を見たか 伝説の剛速球投手』鎮勝也/講談社)。
こうして、大学4年時の山口は、リーグ戦春秋連覇、6月の「全日本大学野球選手権大会」優勝、7月の「日米大学野球選手権大会」優勝、11月の「明治神宮野球大会」優勝と、全5冠を達成して、史上最高の大学野球投手とも言える圧倒的な成績を残した。
社会人の松下電器を経て、1974年のドラフト1位で阪急に入団した山口は、その剛速球でプロ野球界に衝撃を与えた。