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女子プロレス“歴史に残る流血戦”「まるでイノキ対ベイダー」Sareeeが引き出したボジラの“才能”「アメリカのリングでも間違いなくトップに」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/11/01 17:01
女子プロレス「マリーゴールド」のワールド王座戦、ボジラの腕を取りにいくSareee。10月24日、後楽園ホール
「アジャコング戦以来の大流血」決着は血染めの腕十字
「Size does matter(デカさこそがすべて)。私は最強で頭がいいモンスター」
Sareeeを襲ったボジラのパワーは驚異的だ。巨体でぶちかまし、ラフファイトもできる。長身からスープレックスも放つし、ムーンサルトプレスまでやってのけてしまうのだから無敵感がある。逆にそんなに動かなかったら、さらなるすごみを感じられたのかもしれないが……。でも、これはこれでいいだろう。このスタイルがボジラなのだから。
序盤に繰り出したSareeeの卍固めはボジラによく巻き付いたが、パワーで振りほどかれた。
そして投げっぱなしジャーマンスープレックスvs.バックドロップ。
Sareeeはコーナーからボジラを踏みつけた。かつて猪木がアンドレに、弁慶に向かった牛若丸のごとくヒラリと舞い降りたように。猪木はニードロップだったが、Sareeeは両足でのスタンプだ。もう一度、高々とジャンプしたSareeeはボジラを踏みつけた。
「リングはいろんなものでできているでしょう。それを有効に使えばいいんですよ」
猪木はかつてそう言っていた。確かにリングにはロープも鉄柱も金具も存在する。そしてリング内も場外もある。
場外で暴れるボジラにイスを投げつけられて頭から流血してしまったSareeeだったが、それで余計にすごみが増した。本人によると「6年前のアジャコング戦以来の大流血」だったという。
Sareeeは猪木流の腕折りから、延髄斬り、そして裏投げを放つとボジラの右腕を固めにいった。グラウンドに移行してのアームバー。微妙にポジションを変えながら、Sareeeは腕を極めてボジラからギブアップを奪った。血染めの腕ひしぎ十字固め。