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「一番でいたい。老害と呼ばれてもね(笑)」50歳になった“デスマッチのカリスマ”葛西純が「リングの上なら死んでもいい」と言わない理由
posted2024/11/01 11:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
“デスマッチのカリスマ”葛西純は、デビュー27年目の今もなお最前線を走り続けている。
昨年は所属するFREEDOMSのビッグマッチで、エル・デスペラード(新日本プロレス)とのタッグを実現させた。対戦したのは、やはりデスマッチ最高峰の選手たちである竹田誠志と山下りな。
新日本プロレスの『NJPWストロング』興行でもデスペラードと組み、ジョン・モクスリー&ホミサイドと大流血戦を展開した。
「俺が新日本の興行でメインなんてね。あんな刺激はなかった」
そう振り返る葛西。今年8月のFREEDOMS後楽園ホール大会では、正岡大介と2024年のベストデスマッチとも言える闘いを見せている。蛍光灯、ガラスボードに加え建築現場の高所足場も設置した試合形式。葛西は足場から投げ、あるいはダイブし、最後までキレのある動きで3カウントを奪った。
今年50歳でも“現在進行形”
彼は1974年9月9日生まれ。現在50歳である。かつてプロレス大賞ベストバウトを受賞した“デスマッチのカリスマ”は50歳でなおカリスマであり続け、ファンを熱狂させる。なぜそんなことが可能なのだろうか。今のプロレス界では50代、60代のプロレスラーも珍しくなくなったとはいえ、葛西はあくまで現在進行形であって“レジェンド枠”ではないのだ。
葛西曰く「歳を取ったんじゃなくレベルアップ。今はレベル50ってこと」。50歳という年齢をことさらに意識することはないという。それだけの試合ができているという自負がある。
「まあ正直、マインドコントロールですかね(笑)。50でレベルアップなんて、常識的に考えたら頭おかしいってのは重々承知で。でも嘘もつき通せば本当になるじゃないけど。そうやってると不思議なもんでコンディションもいいし、若い頃と比べてスピードもパワーも劣ってるとは思わない」
試合中、新しい動きを見せることも。
「26年やってるんでね。ずっと同じことしてたら飽きられてしまう。年齢はレベルだって言うからには、レベルアップしてるなりの動きを見せないと」
「見栄えがよくて、なおかつ動ける体を」
もちろん、ただ試合を続けているだけでは新しい動きは出せないし、カリスマであり続けることも不可能だ。衰えない理由ははっきりしている。Xのポストでもファンに知られている、連日のワークアウト(ウェイトトレーニング)だ。
「ワークアウトがなかったら衰える一方でしょうね。昔からデスマッチをやるレスラーは体がだらしないと言われがちなんでね。それを覆したいという思いもあります」