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大きな山も深い谷も乗り越えて。ダルビッシュは、まだ死なない。
posted2024/10/31 09:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
日米通算20年目を終えたダルビッシュ有は、俯くことなく、穏やかな表情で胸の内を明かした。ドジャースとの地区シリーズで2試合に先発し、大谷翔平を6打数無安打3三振と完璧に封じたものの、パドレスは2勝3敗で敗退した。
「悔しいですね。ここでオフシーズンに入るというのはちょっと実感がないというか……」
日本人最多タイとなる4回目の開幕投手を務めた今季は、まさに「山あり谷あり」だった。開幕直後こそ白星に恵まれなかったものの、5月19日には4連勝で日米通算200勝に到達した。ところが、6月に左股関節痛で負傷者リスト入りし、戦列から離脱。その後、「家族の事情」で無期限の制限リストに入り、チームからも離れた。当初は今季中の復帰すら白紙の状態で、ダルビッシュ自身も「帰って来るとは思っていなかった」と振り返るほど、不透明な状況だった。