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「クビでも仕方がない…」中央大、箱根駅伝“まさかのシード落ち”から10カ月「予選会で6位って、大丈夫かね?」の声も…青学大・原晋監督が警戒する実力
posted2024/10/23 11:01
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Yuki Suenaga
今年の1月、中央大学の藤原正和監督に話を聞いたときのことだ。
前回の箱根駅伝で優勝候補の一角とみられていた中大だったが、13位に終わり、シード権を逃していた。藤原監督はいう。
「毎年、箱根駅伝のあとには中央大学の理事会、理事懇談会といった、いくつかの報告の場があります。今回ばかりはクビだと言われても仕方がない。その覚悟で臨みました」
昨年末にチーム内で感染症が蔓延、レースを走った10人のうち、体調が良好なのは2人だけという状態だった。藤原監督はその状況を包み隠さず報告し、理事たちの前で結果を詫びた。
「ある理事の方から、『状況は分かりました。もう一度、こういうことがあったらクビです。が、そういうことはないでしょう。今回のことは事故だと思って……今後とも強化を進めてください』というお言葉をいただきました」
藤原監督にとって、針の筵だったに違いない。想像するだに冷や汗が出てくる。
中大は陸上競技部の長距離ブロックを「フラッグシップスポーツ」、大学の顔、看板と捉えているだけに、強化を任される監督は責任、プレッシャーと直面せざるを得ないのだ。
前回の箱根駅伝を受け、中大は再出発したといえる。
「予選会で6位って、大丈夫なのかね?」
そして迎えた今年の箱根駅伝予選会。結果は6位だった。取材が終わってから立川駅への道すがら、中大の卒業生と思しき人たちがこんな会話を交わしていた。
「予選会で6位って、これ、大丈夫なのかね?」