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守田英正「アジアカップ敗戦で言ったこともそうだし…」報道陣に緊張が走った“提言”後に起きた変化…オーストラリア戦で見せたリーダーシップ
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/10/18 11:01
オーストラリア戦でキャプテンマークを巻いてプレーする守田英正
報道陣にも緊張が走った“守田の発言”舞台裏
このときの守田は、ミックスゾーンでどの選手よりも長い時間にわたって報道陣に対応していた。そして胸の内を振り絞って言葉にした。
「どうすれば良かったのかハッキリ分からない。考えすぎてパンクというか、もっとアドバイスというか、外からこうした方がいいとか、チームとしてこういうことを徹底しようとかが欲しい」
それは、「ピッチ上での臨機応変な対応」を選手に求めることに重きを置くがゆえに、固執しているようでもあった“森保フィロソフィー”へのアンチテーゼとも取れる言葉であり、聞いている報道陣の間にも緊張が走っていた。
結果的に言うと、森保一監督は守田の提言を前向きに受け入れた。6月から「攻撃的3バック」の新システムを採用したこともあり、前線の選手に対する守備部分の要求を含め、選手に求めることや役割が明確になった。トレーニング前などにはコーチングスタッフと選手がコミュニケーションを取っている姿を見ることも増えた。
そして迎えたアウェーのサウジ戦。シビアな実力が試される難しい一戦で、日本は過去3戦全敗のジッダで初めて勝利を収めた。
「チーム力という意味では今が一番。ただ…」
試合後、取材エリアにやってきた守田は充実感を漂わせていた。アジアカップの時、あえて取材陣に語ってでも解決したかったモヤモヤは、すっかりなくなっていた。
「アジアカップの敗戦で僕が言ったこともそうだし、過去があって今があると思っている。監督もより話を聞いてくれるようになったし、間違いなくあれがあって今があると思う。今後、より良くなっていくと思う」
さらには埼玉スタジアムでのオーストラリア戦の前日会見。体調不良によりホテルで静養することになった遠藤に代わって森保監督と並んで登壇したのは守田だった。
「プレスカンファレンスというこの場を楽しんでいます」と言った背番号5は、今の率直な思いをこのように語った。
「この代表は、森保さんを中心としてチームがスタートし、今、高いレベルで要求し合える関係になってきたと思う。チーム内のルール、秩序が大前提にあった中、個々のキャラクターであったり、考え方であったり、その違いを共有する機会が以前よりも増えてきた。スタッフと選手の関係値は今、良いものだと思うし、チーム力という意味では今が一番、一体となってきていると思う。ただ、完成ではない。今後もっと良くなっていくと思うし、関係という部分においても、より良いものになっていくので、ぜひ期待していただければと思う」