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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「敗れて潔し」日本ハム・新庄剛志監督が示した“ポジティブ効果”「野村克也監督がお元気なら、お小言を連発しているかも(笑)」大胆采配を解説
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/10/19 11:03
大胆な采配で躍進を演出した新庄監督
「普通の監督はしない」采配
新庄監督は1勝1敗で迎えた第3戦の初回にも無死から出塁した松本剛を走らせ、今度は二盗を成功させている。
「第1戦で失敗しているのに、大事な第3戦でまた同じことをやるっていうのは、普通の監督はしない。ましてや第2戦でサヨナラ勝ちしていい形で入ってきているので、その流れをつなげたいはずなんです。でも彼はそういうスタイルなんだと思います。自分たちがやりたいこと、やってきたことを、やらないで負けるよりやって負ける方がいい、という考え方なんでしょう」
選手の起用法にも“ドラマ”があった。第1戦の5回無死一塁のチャンスで送りバントを失敗し、結局併殺打に倒れたチームリーダーの松本を第2戦で1番に抜てき。その松本が初回に三遊間への当たりで一塁にヘッドスライディングして内野安打をもぎ取る気迫を見せた。
ポジティブ監督が生んだ効果
「あのヘッドスライディングの場面だけで球場全体のボルテージが一気に高まりました。失敗した選手に再びチャンスを与えて奮起させる。ポジティブな新庄監督のもとでプレーしているので、選手たちも終盤に強いし、負けている展開でも絶対に諦めない。自分たちは何かできるんじゃないか、と信じていると思います。選手をやる気にさせたり、ファンを惹きつける力がある監督ですし、それが若いチームにいい効果を生み出しているのでしょう」
一方で荒木氏は、新庄監督の「厳しさ」にも注目する。今シーズン開幕スタメンを勝ち取った野村佑希は、不調から何度も二軍降格しCSメンバーにも名前がない。前人未到の通算400ホールドに到達しチームの功労者である宮西尚生にも遠慮はなかった。
「ポジティブで選手と一緒になって戦える監督ではあるけれど、一方で厳しさもある。調子が悪い選手は使わないし、結果が出ない選手はファームに行かせる。ここは若手に対しても宮西のようなベテランに対しても同じですごくはっきりしています。栗山(英樹・前)監督にはない部分で、それが選手たちに競争意識を植え付けたという面もあると思います」