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オリンピックへの道BACK NUMBER
張本美和16歳に“敗れた中国エース”が思わず本音「実力も理解力も大きく向上している」女子卓球、50年ぶり“中国撃破”はなぜ生まれたか?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2024/10/12 17:01
アジア選手権での“中国撃破”の立役者となった張本美和(16歳)
アジア選手権決勝でも、試合が進むにつれて、孫頴莎が消耗している感があった。ただその要因は単純な体力面ばかりではない。試合開始からレシーブで簡単にミスすることなく返す安定感がみられた。これまでからするとそこに進化があり、相手を消耗させるに至った面がある。
レシーブに限らず、サーブでも短いサーブと長いサーブを織り交ぜるなど工夫があった。それも張本の成長の一端を示していた。
世界ランク624位→7位の大躍進
8月13日にオリンピックから帰国した張本は翌々日の15日には練習を再開。「正直、ちゃんと1日休んだ日はないです」と言うように練習を続けTリーグに参戦し、さらには海外遠征と多忙な日々を過ごしてきた。
8月末には「休みがほしいとは思いますけど、休みたいというくらいではないです」と語っているように、多忙であっても高いモチベーションで進んできた。
そこには団体で銀メダルを獲得したパリ五輪で得た思いがある。
「たくさんの方にお祝いのメッセージをいただいて、すごくうれしいですが、少し時間が経って、やっぱり銀メダルより金メダルがほしかったなと思いました。4年後、金メダルがほしいという気持ちでいっぱいです」
早くも2028年ロサンゼルス五輪に思いを馳せ、世界一を目標に定めていた。意欲的な日々が、今回の勝利へと結びついている。
今回、早田ひなが怪我の影響で団体戦への起用はなかったこともあり、シングルスで2試合起用された。張本にチームの柱として期待が寄せられたのだ。
それにとどまらず、いまや張本は日本代表に欠かせない存在感を放っているが、張本が世界ランキングに初めて名前を連ねたのは2022年3月、2022年第11週のこと。このとき張本は624位だった。現在(10月8日付け)の最新のランキングでは7位、中国勢の5人を除けば早田に次いで2番手に位置する。並行してパリ五輪選考レースでも飛躍的な伸びをみせて、代表入りを果たした。ここ2年あまりでの、急速な成長を示している。