濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「林下詩美はそんなもんじゃない」後輩からまさかの苦言…リーグ戦優勝の裏に“ある女子レスラー”の存在「エースはウタしかいないんだから」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNoriNorihiro Hashimoto
posted2024/10/10 17:15
マリーゴールドのリーグ戦決勝で桜井麻衣を攻める林下詩美
林下を奮い立たせた“ある女子レスラー”
マリーゴールドのエースの座へ、生き残ったとも言えるリーグ戦優勝。底力を出しての勝利には、名古屋(国際会議場)という場所も関係していたのではないか。この日、会場には名古屋出身のレスラー、ジャングル叫女がいた。林下のデビュー戦の相手だ。
叫女はヒザの負傷による長期欠場から2021年にスターダムを退団。2022年にアメリカで復帰したものの、現在は再び欠場期間に入っている。
「叫女さんはデビュー戦の相手であり練習生時代からお世話になった人。会うと元気になれるパワースポットみたいな人です。近所の明るいおばちゃんみたいでもありますね(笑)。毎朝“おはよう! いってらっしゃい”って声をかけてくれて、それで元気に学校行けるみたいな。
私は褒められるというよりハッパをかけられて頑張るタイプ。仕事ができなくて怒られてばっかりだった練習生の頃から、叫女さんはそれをよく分かってくれてるんです」
マリーゴールド旗揚げ後も、よく連絡をもらった。決勝の名古屋大会直前も。
「マリーゴールドのエースはウタしかいないんだから頑張って」
マリーゴールドでなければできないこと
決勝戦の入場時には、かつて定番だったマスクを着用した。7月の両国大会で復活させ、これからもここぞという試合ではつけたいという。
「マスクも林下詩美のコスチュームの一部で欠かせないもの。自分の歴史ですね。叫女さんも私にとって欠かせない存在。スターダムをやめて道が分かれて、今リングに上がっていないのは凄く寂しいです。
でも今は私も新しい団体になった。いつか必ず、叫女さんとリングで会う日がくると思ってます。今はケガをしていても、諦めてないので」
スターダムだからできたことがある。一方でマリーゴールドでなければできないことも。そしてどちらの団体でも、絶対に必要なのがトップに立つこと。自分のためだけにマリーゴールドに移ったのだと林下詩美は言う。それは彼女にしか描けないドラマがあるということなのだ。