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「林下詩美はそんなもんじゃない」後輩からまさかの苦言…リーグ戦優勝の裏に“ある女子レスラー”の存在「エースはウタしかいないんだから」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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posted2024/10/10 17:15

「林下詩美はそんなもんじゃない」後輩からまさかの苦言…リーグ戦優勝の裏に“ある女子レスラー”の存在「エースはウタしかいないんだから」<Number Web> photograph by NoriNorihiro Hashimoto

マリーゴールドのリーグ戦決勝で桜井麻衣を攻める林下詩美

「林下詩美はそんなもんじゃない」後輩からまさかの苦言

 3つのタイトルの初代王座決定戦が行われた7月の両国国技館大会。林下は憧れの存在であるWWEのイヨ・スカイと対戦した。夢が叶った試合だったが、このマッチメイクによって“別枠”感が出てしまったのかもしれない。

 マリーゴールドのエースに自分がならなければ。その思いは強かった。しかしそういう流れになっていない焦りもあった。8月にはもう1人の中核選手ジュリアが退団してWWEへ。

「ジュリアがいなくなって大きな穴があいてしまう。その穴を埋めるという以上の存在に自分がならなきゃいけない。そう思う気持ちっていうのは、前向きなものだけではなかったです、正直に言って」

 8月31日からスタートしたシングルリーグ戦「DREAM STAR GP」。ここが実力を示すギリギリのチャンスだった。だがなかなか調子が上がってこない。目立ったのはマリーゴールドの初代ワールド王者となったSareee(フリー)や、ジュリアの日本での最後のシングルマッチで対戦した桜井麻衣。MIRAIに初のフォール負けを喫した試合では「超えたかった林下詩美はそんなもんじゃない」と苦言をぶつけられた。

 なんとか得点争いで踏みとどまり、迎えた決勝大会。林下はアクトレスガールズから移籍してきた天麗皇希を下しブロック1位が確定、決勝進出を決める。決勝の相手は桜井。元スターダム同士だが、スターダム時代には考えられない決勝だった。それだけ桜井が成長したのだ。

“順当”ではなかった林下のリーグ戦優勝

 勢い、観客の後押しでいえば桜井。しかし勝ったのは林下だった。ラリアットやタックル、豪快な投げを駆使した闘いぶりはパワフルで、誰にでもできるものではなかった。くぐってきた修羅場、大舞台の経験値がものを言ったようにも見えた。

 といって林下の優勝は単なる“順当”でもなかった。ネットで追う“情報”と現場で見る実感はまた別物だ。桜井、Sareee、旗揚げ戦で初来日を果たした“大怪獣”ボジラなどが新鮮な光景を展開するマリーゴールドで、林下が埋もれてしまう可能性も充分にあったのだ。

 林下自身「この優勝で完全復活、大復活とは言えない」とコメントしている。必要なのはベルト、Sareeeが持つワールド王座だ。スターダムの“赤いベルト”に対し、マリーゴールドの頂点は“真紅のベルト”と呼ばれる。

 Sareeeはリーグ戦で敗れたボジラとの防衛戦を希望。林下はその勝者に挑むことになる。舞台はマリーゴールド2度目のビッグマッチ、1月3日の大田区総合体育館大会だ。

【次ページ】 林下を奮い立たせた“ある女子レスラー”

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