- #1
- #2
マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「県庁で農業振興の仕事を…」のはずが“まさかの”ドラフト1位候補…MAX159キロ「大学No.1右腕」愛知工大・中村優斗に感じる「アノ球団」との縁
posted2024/10/21 06:01
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
今年もドラフト会議の季節が近づいてきた。注目選手のひとりに挙がるのが、愛知工大のエースで最速159kmを誇る大学最速右腕・中村優斗だ。昨年以降、大学ジャパンにも選出されるなど、競合も予想されるドラ1候補だが、高校時代は全くの無名。「地元で公務員に」との将来像を描いていた青年の、進化のワケとは?《全2回の1回目/つづきを読む》
昨年12月の初め、松山・坊っちゃんスタジアムで行われた「侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿」。全国から選り抜きの大学生選手が集まって、「学生ジャパン」の椅子を競う。
その紅白戦で驚いた。私だけじゃない。ネット裏にいた「みんな」が驚いた。
150キロ台が続く。151とか、152とか、そんな「150キロ台」じゃない。155、156、157……あわや「160キロ」だ。
高校時代は無名の右腕が160キロ近い速球を…!
それも「エイヤー!」の力任せではぜんぜんない。その力感で、どうしてこのスピードなんだ。理解不能な投球メカニズム。たまにスライダーをはさむだけ、ほぼ150キロ台一本でサラッと2イニング抑え込んでしまった。
愛知工業大投手・中村優斗(176cm83kg・右投左打・諫早農業高)。
高校時代に甲子園を沸かせたわけでもなく、この日初めてその勇姿を見た人も多く、なかば茫然としていたというのが、ほんとのところだったのだろう。