気合いマックス、でも冷静に

「そうですね。厳しい場面を乗り越えるたびに、マウンドでの自分の心持ちが変化しているのを感じています。いい意味で入り込み過ぎないように、もちろん気合いマックスなんですけど、冷静な面も持つことができ、バッターとの勝負に集中できていると思います」

　悪い状況を引きずらないスイッチの切り替えと、いい意味での心の余裕。そして必要とされていることを実感できる選手としてのやりがいが大きな力となっている。

　今季のピッチングで目をみはるのは、ゾーン内で勝負できるキレのあるストレートと、しっかりと落とし切ることのできるチェンジアップだろう。実は昨年ファームで16試合に投げ、防御率1.80という数字を残しており、ボールの質に関しては自信を得ていた。昨季まで投手育成アナリストを務め、現在ファームの投手アシスタントコーチである東野峻から「ボールも強くなっているし、変化球の精度も上がっている。とにかくゾーンでしっかり追い込んで、普通に投げれば通用するよ」と太鼓判をもらっていた。ゆえに、すでに持っているパフォーマンスをいかに一軍で発揮するかが勝負だった。

異なる球種を同じ軌道から動かす

　数年前まで2100～2200回転だったストレートのスピンレートは、フォームを見直し現在2400回転半ばまで上がっている。

©JIJI PRESS

「以前よりもいいメカニクスで投げられている実感はありますし、あとは球速の面で改善の余地はあるので、そこをビルドアップしていきたいと思っています。チェンジアップに関しては、落ち幅も大事なのですが、リリースからストレートと同じように投げることを心掛けています」

　つまり異なる球種を同じ軌道から変化させる“ピッチトンネル”を強く意識しているということだ。

「リリースのときにふわっと浮かせるのではなく、途中までストレートの軌道で行って、しっかり落とす。だからイメージとしてはチェンジアップというよりもスプリットチェンジですね」

　これに加え、同様にピッチトンネルを意識したカットボールが、今季の坂本の武器になっている。

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