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「えっ、大谷さんMVP当確じゃなかったの?」大谷翔平“衝撃50-50”で「DH反対派」もさすがにダンマリ「日本人が知らないMVP選考ウラ事情」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2024/09/21 11:06
9月19日、ついに「50-50」の偉業を達成したドジャース大谷翔平。試合後のインタビューで「一生忘れられない1日になった」と語った
ただ……すべてのあとで、リンドアの功績を認めた上でも、ほとんどのメディア、関係者がそれでも「今年はやっぱり大谷だよ」と結論づけているように感じられてきたのも事実である。特に長期の無理が祟ったか、リンドアは9月下旬の大事な時期に腰痛で故障離脱。ここで大谷はMVP当確ラインにクリンチ(到達)し、もうほとんど議論にもならなくなった。
仮定の話だが、リンドアが故障離脱せず、打率を.290くらいまで引き上げ、WARでのリードを広げたとしても結果は同じだったのではないかとも思える。結局のところ、今季の最大のストーリーは大谷だったから。2024年のナ・リーグでは大谷の一挙一動が常に注目され、大活躍し、歴史的な記録を残した上でドジャースの高勝率を助けたという事実があるからだ。
数字だけじゃないストーリー性
WARの数字も貴重な指標になるが、それがすべてではない。過去5年のMVP受賞者10人のうち、WARで1位だったのは3人のみ(9人が3位以内)。スポーツエンターテイメント・ビジネスであるMLBではストーリー、歴史的偉業が評価されるのは当然であり、その点で今季の大谷の存在感は飛び抜けている。
少し前の例になるが、2012年のメジャーでは走攻守を備えたマイク・トラウトがWARではトップだったが、実に45年ぶりの三冠王を達成したミゲール・カブレラがMVPを受賞した。その結果が間違っていたとは思えず、金字塔を打ち立てたインパクトが評価されるのは今季の大谷の選考時も同様だろう。
ドジャースという名門に史上最大の契約で加わり、その1年目でこれだけのことをやり遂げた。打席に立てばスタジアムの誰もが足を止め、注視する。その大舞台での強さは50-50を達成したゲームでの大爆発に象徴されている。ア・リーグのアーロン・ジャッジ、ボビー・ウィットJr.のようにWARで大谷を大きく引き離す選手がいるのであればまた話は別だが、他の候補とほとんど大差がないのであれば、やはり今年は大谷こそがナ・リーグの「The Player of the Year」にふさわしいのだろう。