「リンドアも素晴らしいシーズンを過ごしているわけだから、MVPレースの話をするのはそんなにおかしなことではない。おそらく今年は満票ではないんじゃないかな。とはいえ、50-50なんて歴史的なことをやったら、そのインパクトが選考に加味されるのは当然だよ。もしも新しいフランチャイズをスタートするとしたら大谷とリンドア、どちらを選ぶ？　大谷だろう？　そう、それが答えなんだよ」

　ボストングローブ紙のピート・エイブラハム記者の言葉はシンプルだが、説得力はあった。最後の部分はMVP選考には無関係だが、真実を突いているのだろう。

　リンドアが対抗馬、候補の一人とされるのは正当であり、無理矢理に浮上したわけではなかった。それでもMVPの受賞は考え難い。なぜなら、守備の要素を含めても指標の面で抜きん出ることは叶わず、同時に大谷が今後の米スポーツ界で長く語り継がれる偉業をやってのけたから。

スタンディングオベーションに応える大谷。後ろのボードには「オオタニの歴史的50-50見るため数学サボったよ」　©Getty Images

　2024年のレギュラーシーズンは、“大谷が50-50を達成したシーズン”として記憶されるのであれば、MVP受賞も当然に思えてくるのである。