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「もう、無理だ…」井上尚弥のエグいボディで“ドヘニーの心が折れた”決定的瞬間…カメラマンの予感「7、8ラウンドで終わる」“あの結末”の真相
text by
福田直樹Naoki Fukuda
photograph byNaoki Fukuda
posted2024/09/07 17:01
4団体統一王者・井上尚弥はいかにしてTJ・ドヘニーの「心を折った」のか。リングサイドで撮影したカメラマンの福田直樹氏に話を聞いた
カメラマンが見た「ドヘニーの心が折れた瞬間」
ドヘニー陣営は試合後に「6ラウンド終了時点で腰に異変があった」と話していましたね。試合中にどこかが歪んでしまったのか、以前からなにか問題を抱えていたのか……。医学的なことはわかりませんが、井上選手のボディの威力がすさまじく、背中側までダメージが貫通していたのかもしれません。いずれにせよ、ボディが相当効いていたのは明らかでした。
決着の瞬間はあっけないものでしたが、もう心が折れてしまったような印象でしたね。5年前から井上戦を追い求めてきて、あれだけの感情で試合に向き合う選手でも、戦い続けようとは思えなかった。「もう、無理だ」と相手の気持ちを萎えさせてしまった井上選手のレベルが違いすぎる、と言えるかもしれません。
もちろん、誰もがすごいKOを期待していたでしょうし、井上選手もそうしたかったし、我々カメラマンもそれを撮りたかった。とはいえ、大きな選手をまったく危なげなく完璧に攻略したという意味で、間違いなく「圧倒的な強さを見せた試合」ではあったと思います。
井上選手は試合後、すこし残念そうな表情をしていましたが、「ここから仕留める」というタイミングで相手がやめてしまっては仕方ない。毎回すごい試合を望まれますが、こればかりは自分では選べませんからね。「長くやっていればこういう試合もある」という本人の言葉に集約されると思います。
とはいえ、「次こそは綺麗に倒したい、すごいものを見せたい」というのがエネルギーになるタイプですから。いつも我々が想像した以上のものを見せてくれる選手なので、逆に12月に予定されている試合がとても楽しみになりました。
(構成/曹宇鉉)