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「反省してます!」平本蓮の“態度が変わった”ある質問…「信者とアンチが罵り合い」ドーピング否定会見で考えた“SNS騒動という論点”
posted2024/09/03 17:06
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
日本格闘技史上、最大級のスキャンダルが勃発した。勃発してしまった、と言うべきだろうか。
7月28日のビッグイベント『超RIZIN.3』、そのメインイベントで朝倉未来をKOした平本蓮に“ステロイド疑惑”が持ち上がったのだ。
検査結果公表前に行われた会見
8月20日、「復活の日本」なるXアカウントが公開した通話音声は、平本らしき声が薬物の注射の打ち方などについて質問する内容だった。
この音声で平本と通話しているのは自分だと名乗り出たのは、格闘家の赤沢幸典。平本の求めに応じて禁止薬物を提供したものの、良心の呵責に耐えきれなかったという。また赤沢は自身のドーピングについても告白した。
“疑惑”は本当なのか。インターネットが大騒ぎになる中、大会を運営するRIZINの榊原信行CEOは、8月21日の会見でアメリカのドーピング検査機関の検査結果を待つとした。RIZINではタイトルマッチ、GPトーナメントに加えワンマッチでもランダムに尿検査を実施。平本vs未来は新設されたラストマン・スタンディング王座の決定戦だったため、試合前から尿検査が確定していた。
通常であれば、この検査の結果で「シロかクロか」を判別するしかない。ただ今回はRIZINが検査結果を公表する前に、平本サイドが会見を開くことに。RIZINにもそれは伝えたそうだ。
認めた「事実」と否定した「疑惑」
9月2日、都内ホテルで行われた記者会見。会場には朝日新聞など普段はMMAを扱わない媒体も取材に訪れていた。平本は白地にピンストライプのスーツで登壇。両脇に弁護士が同席する中、彼はドーピング疑惑についてきっぱりと否定した。
自分から薬物を求めたのではなく、赤沢から「トレーニングの効率が上がるサプリ」を勧められたのだという。赤沢にはこれまで2度セコンドについてもらったこともあり、信頼関係があった。
だが届いたサプリを家に置いておいたところ、関係者から「風邪薬でもドーピング検査に引っかかることがあるんだから、使わないほうがいい」というアドバイスがあり、使わないまま試合を迎えた。
後日、赤沢から連絡があった際(ネットにアップされた音声)には「使ってないけど無下にもできない」から話を合わせたと平本。
つまり平本は、赤沢とドーピングについて話し合っている音声は自分だと明かした。そこまでは認めて、しかし薬物は使用していないという主張だ。赤沢は薬物の見積書、「ヒラモトレン」の記載がある代金の振込記録を公開しており、それも自分が振り込んだもので間違いないと平本。
ただ赤沢との信頼関係の中で購入したものであり、やましいことがないから本名で振り込んだのだとも主張している。怪しげな薬を買っている自覚があれば、平本蓮の名前で振り込むことはしないと。