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東野有紗が告白「喧嘩は一度もないですね」渡辺勇大と“互いをとことん思いやった”13年間…ワタガシペアだから迎えられた「最高の結末」
posted2024/08/29 11:04
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
バドミントンミックスダブルスの渡辺勇大・東野有紗がペアを解消した。
8月16日に所属先の公式サイトで発表した。8月19日の会見で、解消を決めた経緯を渡辺が説明した。
「東京オリンピックが終わったとき、2人ともパリオリンピックが集大成になるという感覚でいました。パリオリンピックが終わったタイミングだったという話です」
渡辺・東野としての最後の大会となったのはジャパンオープン。8月23日、準々決勝で敗退し2人は終止符を打った。
試合後、東野が語った。
「自分自身、勇大くんとミックスダブルスをやってオリンピックに出たいという思いがほんとうにずっと、中学校、高校から強くありました。それを実現できましたし、たくさんのメダルを獲ることができました。歴史をたくさん創ってこれたというのが自分の中でいちばんいい思い出だなと思っています」
「余り者同士」から始まった13年のペア生活
東野の言葉のとおり、2人の残した功績は数えきれない。ミックスダブルスでは日本初の五輪メダルを東京大会で現実とし、パリでも2大会連続の銅メダルを獲得。世界選手権や全英オープンなど国際大会で何度も表彰台に上がった。成績の面で日本ミックスダブルスの歴史を塗り替えるとともに、ミックスダブルスの認知度を飛躍的に高めた。2人がいなかったら、ここまでミックスダブルスへの関心が高まることはなかった。
2人の出発点は、福島県富岡第一中学校時代、3年生だった東野と2年生だった渡辺が海外遠征時に初めて組んで大会に出たことにある。強豪の部にあって、「余り者同士」と東野が表現する2人のその後を、思い描けた人はおそらくいなかったのではないか。
でも東野は渡辺とともに「中学校、高校からオリンピックに出たい」と強く思った。渡辺となら出られると感じた。それに渡辺は呼応し、今日までの足跡を刻んできた。