甲子園の風BACK NUMBER
「相手の太もも、二の腕はパンパンだが…」“先発平均身長172.7cm、体重71.9kg”京都国際が「甲子園で勝てる」理由をプロ注ショートらに聞く
text by
間淳Jun Aida
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/08/22 17:03
決して大柄ではない京都国際ナイン。それでも夏の甲子園決勝進出を果たせたのはナゼ?
「相手を意識しすぎても意味がありません。当たり前のことを当たり前にする自分たちの野球を徹底しています。この試合もずっと言ってきました」
京都国際は守備では球際、攻撃では1球で仕留める打撃にこだわってきたという。そして、どんな相手にも、どんな場面でも攻める気持ちを忘れないことをチームで共有してきた。
青森山田戦でも守備で相手に隙を見せず、6回に3安打を固めて3点を奪い、試合をひっくり返した。
藤本は「序盤は追う展開でしたが、守りからリズムをつくって逆転しようと話していました。守備でも攻める、守るのではなくて攻めることができたと思います」と力を込めた。
「青森山田さんが変わるきっかけをくれました」
チームの戦い方が明確になったきっかけは、今春のセンバツで青森山田に敗れた試合だった。チームは「青森山田を倒す」を合言葉に約半年間、過ごしてきた。3番の沢田遥斗選手は「個の力は相手の方が上です。打撃では後ろの打者につないで、みんなで束になって挑まないと勝てないと感じました」と語る。その言葉通り、この試合では6回1死一塁から安打でつないで同点のホームを踏んでいる。
長打で局面を打開するのではなく、しぶとくつないで相手を追い込む。この試合でも6本の安打は全て単打。ウエイトトレーニングで筋力を強化するよりも、打席での感覚を磨いたり、逆方向へ低く強い打球を飛ばしたりする練習を重視してきた結果と言える。センバツでは8イニングで3得点に抑えられたプロ注目の大型右腕・関浩一郎投手から、4イニングで3点を奪った。
藤本が言う。
「青森山田さんにセンバツで負けてから日本一を目指そうとチームでやってきました。青森山田さんが変わるきっかけをくれました。きょう勝てたことで、自分たちのやってきたことは間違っていなかったと自信を持ちました」
甲子園で勝てるチームでプレーしたい
決勝進出につながったセンバツの敗戦。そして、もう1つ。京都国際ナインには深く刻まれた記憶がある。