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五輪で乱立の「美人アスリート」報道…実際の選手はどう感じた? 走高跳・高橋渚(24歳)が語る“知ってもらう重要性”「入り口は様々でも…」
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/08/17 06:02
走高跳で日本選手権3連覇の高橋渚(センコー)。本人も「美人アスリート」として取り上げられることも多いが、リアルな思いの丈は…?
「今回、結果的に私はパリ五輪に出場することはできませんでした。もちろん『五輪に行けなくて残念だったな』という気持ちもあります。でも同じくらい、世界との距離が遠いと言われていた女子の走高跳で『あと1人』のところまでランキングを上げることができたという、可能性を感じられた思いもある。手探りながら海外の大会にもたくさん出て、ポイントを計算しながら結果を残せるように努力もしてきました」
仮に「記録がよくなかったから」「五輪に出られなかったから」という結果だけで見るとするならば、その経緯自体を知ってもらう機会を失うことになってしまう。
「ビジュアル面であれ何であれ、入り口はともかくとしてまずは『ハイジャンパーの高橋渚』という存在を知ってもらいたい。その上で『また次に向けて頑張ってほしい』と言ってもらえることはすごく嬉しいですし、頑張れますね」
もちろん昨今のスポーツ界で大きな課題となっている盗撮問題や誹謗中傷などは論外としても、SNSなども含めて「様々な角度から背景を知ってもらうことの重要性は大きい」と高橋は言う。それは仮に今後、高橋が世界大会などに出場する機会があったとして、その際にこれまでの本人のバックボーンを知っているかどうかは、競技を目にした人の選手への思い入れの多寡に大きな影響を与えるからだ。
アスリート自身の「背景」を知ってもらう重要性
また、五輪で金メダルを獲得した女子やり投の北口榛花(JAL)がチェコ人のデービッド・セケラックコーチに師事したことを引き合いにだすまでもなく、現在のアスリートが世界の舞台で活躍するには、各国を転戦し、時には海外での長期の武者修行も必要になってくる。高橋自身も昨年1年間、海外での試合に幾度も出場できたことが「大きな自信になった」と語っている。
ただ、当然そこには費用面での問題も重くのしかかる。そういった時に、スポンサーや所属企業を考える上でも、どんな形であれアスリートとして自身の足跡を知ってもらえるきっかけというのは大きな意味があるのだという。