パリ五輪では「ピークを合わせてきた」というだけに、プレーが崩れることがなく、好調をキープしていた。張本への助言、大会中に左腕を痛めたエース・早田ひなの負担を減らそうと奮闘。五輪経験者ならではの冷静が光った。間違いなく、チームに安心感や落ち着きを与えていた。

同じ2000年生まれの早田ひなと平野美宇　©︎Kaoru Watanabe/JMPA

©︎Naoya Sanuki/JMPA

　どんな状況でも、どんな相手でも決して動じない。今の平野の姿からは余裕さえ感じる。そんな姿に監督の渡辺武弘も「頼もしい」と目を細めた。

「東京オリンピックのときは私だけが初出場で、すでに経験のある石川（佳純）選手や伊藤（美馬）選手にすべて背負ってもらっていました。今回は私だけが唯一の経験者。自分がなんとかしたい、そういう気持ちもありました」

　団体戦決勝で敗れた中国は「何度やっても強い相手」と今回もまた力が及ばなかった。

　3歳で始め、人生が卓球そのものというぐらい必死で球を打ち続けてきた平野。

　五輪を重ねる度に、それを契機に一回りも二回りも成長してきた。だからこそ、これからも歩みを止めない。

　もっと強く、たくましく。24歳はまだまだ自分に限界をつくらない。