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エース早田ひな、16歳張本美和を輝かせた“冷静な平野美宇”「自分がなんとかしないと…」8年前、リザーブに甘んじた天才少女の変貌
posted2024/08/14 11:02
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
「近づいたと思ったら、さらに上を行かれる。まだまだ努力していかないと差はあるなと感じました」
パリ五輪卓球女子団体決勝。中国との第2試合で平野美宇は、昨年7月のWTTコンテンダーザグレブで勝利した孫穎莎と対戦。結果は0-3とストレート負けだったが、世界女王に互角に打ち合い、見ごたえのある試合を見せた。
平野も、そして孫穎莎にとっても負けられない一戦。会場には張り詰めた空気が漂っていたが、平野は最強と呼ばれる中国選手との対戦も楽しんでいるようにも見えた。
東京に続き2大会連続の出場となった平野は、今大会のメンバーで唯一の五輪経験者だった。初出場の前回は石川佳純や伊藤美誠に引っ張ってもらったが、今回は「自分がなんとかしないといけない」と強い気持ちで臨んだ。かつて天才少女と謳われた平野がチームをけん引する姿は、とても頼もしかった。
何かを変えないといけない
初めての大舞台はリオ五輪。だが、当時16歳の平野はリザーブメンバーに甘んじた。3位決定戦のシンガポール戦に勝利し、銅メダルを獲得する仲間の姿を見つめる表情は悔しさに溢れていた。
何かを変えないといけない――。
五輪のシングルス代表入りへ、変革の日々が始まった。安定性を重視したラリースタイルから、攻撃的な強打を仕掛けるスピード型に大胆にスタイルを変貌させた。