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核心にシュートを!BACK NUMBER
富永啓生はなぜ「使われなかった」のか? プレー時間は1試合平均わずか2分…日本バスケ“史上最高のシューター”がパリ五輪で輝けなかったワケ
posted2024/08/07 17:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
FIBA
パリ五輪で日本のファンを熱くさせたバスケ日本代表。結果こそ3連敗に終わったが、強豪国と互角に戦い抜いた試合内容は、日本バスケが新たな時代に突入したことを示唆するものだった。一方で、その舞台で「日本最高のシューター」として期待された23歳の若者は、本来の輝きを放てなかった。その裏には、一体なにがあったのだろうか?《全2回の1回目/2回目を読む》
富永啓生はなぜ「使われなかった」のか。
日本バスケ史上最高のシューターと目されていた男が、最高峰の舞台では蚊帳の外に置かれた。その理由を検証していくことで、大きな期待を集めたバスケ日本代表がパリ五輪で3連敗に終わった原因も見えてくるはずだ。
なぜ富永のプレータイムは短かったのか
富永の今大会3試合の出場時間と3Pシュートの数は以下の通りだ。
・ドイツ戦 出場時間:49秒 3Pシュート:無し
・フランス戦 出場時間 6秒 3Pシュート:無し
・ブラジル戦 出場時間:6分59秒 3Pシュート:4本を放ち成功無し
1試合平均のプレータイムは2分38秒。なんと、12人の登録メンバーのなかで最短だった。その立場が激変したことは、昨年のW杯における1試合平均スタッツと比較すればよくわかる。
<W杯>
出場時間:17.9分(チーム6位)、3Pシュート数6.4本(トップ)、3P成功率37.5%(2位)
<五輪>
出場時間:2.6分(最短)、3Pシュート数1.3本(8位)、3P成功率0%
何より、富永は伸び盛りの23歳だ。これほどまで出番が与えられないとは、誰も予想していなかったはずだ。そこには大まかにわけて4つの理由があるのではないだろうか。
1つ目の理由としては、各ポジションの役割の変化が関係している。昨年のW杯との決定的な違いはNBAプレーヤーの八村塁が加わり、攻撃の中心になったことだ。それに伴い、シューティングガード(SG)、スモールフォワード(SF)、パワーフォワード (PF)の3つのポジションで、顔ぶれと役割が大きく変わった。