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河村勇輝でも八村塁でもなく…フランス戦“数字で見る”最大の功労者は?「クラブでは控え」だった26歳・吉井裕鷹は代表の救世主になれるか
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKaoru Watabe/JMPA
posted2024/08/02 17:03
タイトなディフェンスで五輪でもチームに貢献している吉井裕鷹。随所に活躍が光るが前所属のアルバルクでは「控え選手」だった
また、現在の日本代表は “最初の選手選考”にホーバスHCがあまり関与しないという特殊な方針がある。ホーバスHCは代表活動期間以外は、母国アメリカで過ごすことが多い。アメリカではNBAのチームだけではなく、大学のチームの練習にも足を運び、新しいアイデアや練習方法を学びたいからというのがその理由だ。
そのため代表候補選手選定の大半を東野智弥技術委員長やアシスタントコーチ陣に任せている。現在の代表アシスタントコーチには、昨シーズンまで宇都宮ブレックスを率いていた佐々宜央や、川崎ブレイブサンダースでアシスタントコーチを務めている勝久ジェフリーがいる。彼らはBリーグで対戦するチームの長所や短所を必死で分析している立場でもあるため、選手の長所も短所もよく知っている。彼らの視点をホーバスHCは大切にしており、自著『スーパーチームをつくる!』(日経BP)では選手選考について、彼らに「頼っている」とまで書いている。
そして彼らが推薦してきた選手たちを実際に合宿に呼んでみて、最終的にはホーバスHC自身の目で力量を判断するのだ。
もしも前任のフリオ・ラマスが今も指揮を執っていたとしたら、吉井が脚光を浴びるチャンスはかなり低かったはずだ。
恩師も「珍しい振る舞いをする選手」
次に「吉井のキャラクター」についてだ。
彼は大阪学院大学時代に頭角を現した選手だったが、当時から自分の考えをしっかり主張する選手だったという。同大学の行広伸太郎監督が、自身が指示したのと違う動きをした吉井に対し、その行動をとがめたことがあった。
だが、吉井は選手の立場にも関わらず、監督の指摘に対して理路整然と言い返したという。同大学で20年以上指揮してきた行広監督もあまり指導したことのないタイプだったそうだ。
尊敬するアスリートは、日本サッカー界のレジェントである本田圭佑だという。
「海外に出て、どんな環境にも対応する。しかも、結果が伴っていなくても常に挑戦し続ける。批判されてもやめない。日本人にはあまりないメンタリティが備わっていて、カッコいいと思います」