酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「サイ・ヤング賞腕カイケルがロッテに来るけど」バウアーはスキャンダル禍で来日、ドジャースで最多勝ペニーは…メジャー大物投手の日本成績
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byElsa,Adam Hagy/Getty Images
posted2024/08/01 11:02
サイ・ヤング賞受賞経験のあるダラス・カイケルとトレバー・バウアー。メジャーで一線級だった投手が日本に来て残した成績は?
レッズ時代の2020年に、カブスのダルビッシュ有と争ってサイ・ヤング賞を受賞。DeNAでは試行錯誤を繰り返しながら少しずつ適応し、10勝を挙げた。その学習能力の高さは、目を見張るものがあった。
カイケルは3人目だが、もう9年も前の受賞であり「時価」での価値には大いに疑問符が付く。
メジャー50勝以上の投手はペニーを筆頭に…
そもそも、MLBで多くの勝ち星を稼いだ投手で、NPBでも活躍した選手はほとんどいない。2001年以降にNPBにやってきたMLB投手の勝利数5傑とNPB加入時の年齢、MLB、NPBでの実績。MLBの成績はNPBに加入時点。MLBに復帰後の成績は含めない。
ペニー 2012年33歳(ソフトバンク)
MLB 119勝99敗 率4.23
NPB 0勝1敗 率10.8
パディーヤ 2013年35歳(ソフトバンク)
MLB 108勝91敗 率4.32
NPB 3勝6敗 率3.84
オルティズ 2008年34歳(オリックス)
MLB 84勝80敗 率4.90
NPB 4勝7敗 率5.82
バウアー 2023年32歳(DeNA)
MLB 83勝69敗 率3.79
NPB 10勝4敗 率2.76
ジョンソン 2007年33歳(西武)
MLB 55勝98敗 率4.99
NPB 1勝4敗 率4.35
全員が1年で退団している。
ブラッド・ペニーはドジャース時代の2006年には16勝を挙げて最多勝になるなど、一線級の投手だったが日本の環境になじめずわずか1試合で退団した。
ヴィセンテ・パディーヤもフィリーズ、レンジャーズとドジャースに所属した09年に12勝と2ケタ勝利を挙げた先発投手だったが、レッドソックスでは救援投手に。ソフトバンクでも当初は先発で投げたが救援に転向し、3勝3ホールドに終わった。
ラモン・オルティズはエンゼルス、ナショナルズで2ケタ勝利を挙げたが、オリックスでは先発したものの長いイニングを投げることなく終わった。
2007年に西武へやってきたジェイソン・ジョンソンはオリオールズ時代に2度10勝、やたら負けが多い投手だったが、NPBでも1勝4敗。ただ7試合で5つのQS(6回以上投げて自責点3以下、先発投手の最低限の責任)をマークした。しかし7月25日を最後に登録抹消され、退団した。
バウアーはスキャンダルによって日本に来た側面が
こうして見ると、MLBで2ケタ勝利を複数回上げるような実績を残した投手で、NPBでも活躍したのはトレバー・バウアーだけである。