テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「翔平との対戦で今まで出なかった力を」前田健太36歳は大谷翔平30歳に感謝した…“テレビに映らない”2人の関係と「人間・大谷の魅力」
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byJIJI PRESS
posted2024/07/26 17:21
タイガースvsドジャースを前にした前田健太と大谷翔平。番記者が見た“テレビに映らない”関係性とは
試合後の球団広報は日米メディアに対し「ノー、セブンティーン」と背番号17の大谷の取材対応がないことを通達した。一方、諸々の取材対応後に警備担当によって関係者口に連れて行かれたワインクープさんは大谷に200号記念球を返し、大谷から直筆サインボール、Tシャツ、ノースリーブパーカー、帽子2つをお返しとして受け取った。
翔平との対戦で、今まで出なかった力のようなものが
《7月14日 VSタイガース(コメリカ・パーク)●3-4》
5回2死。大谷と前田が3年ぶりの対戦を果たした。
大谷は前田の4球目、外角スプリットをはじき返した。鋭く落ちるライナーで遊撃手のグラブをはじく内野安打。さらに8回も左腕チェフィンから右前打し、2戦連続マルチ安打で前半戦を締めた。
中継ぎ配置転換後初登板の前田は、3球目に今季最速94.1マイル(約151キロ)を計測。「特別だった。凄く楽しかった。翔平と対戦できたことで、今まで出なかった力みたいなものを出すことができた」と振り返った。
安打を打たれたものの、クイック投法で大谷の二盗を阻止し、今季3度目の盗塁失敗の“お返し”に成功。36歳となったベテラン右腕の見えない力を呼び起こす大谷の存在感は、やはり特別だった。
大谷にとっては、打者専念の特別な移籍1年目。デーブ・ロバーツ監督は前半戦の働きを「期待通りの才能。世界的な野球界の顔。毎日彼のプレーを見られることは我々全員にとって幸運なこと」と改めて絶賛した。
ロバーツ監督は「大谷は(行動や考え方に)一貫性がある。一生懸命練習し、学びたい意欲が強い」とも言った。ロバーツ監督に限らず、選手、スタッフに大谷について聞くと「Consistency(一貫性)」という表現が頻発する。
これこそ、人間・大谷を端的に表すキーワードである。<つづく>