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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
急逝から19年…“破壊王”橋本真也はどんな父親だった? 火葬場で泣き崩れた長男・橋本大地はプロレスラーに「使命感みたいなものがあった」
posted2024/07/19 11:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
本人提供
新日本プロレス、ZERO-ONEで一時代を築いた“破壊王”橋本真也が脳幹出血により亡くなったのは、2005年7月11日のことだった。その直前、7月3日に40歳になったばかりだった。
数日後、斎場で1人の少年がプロレスラーになることを決意する。橋本の長男、大地だ。当時13歳だった。
「棺桶が火葬炉に入って、扉が閉まって。その時に泣き崩れちゃったんですよ。泣き崩れながら“プロレスラーになろう”って。そう思った理由は……なんだろうな。使命感みたいなものはあった気がしますね」
偉大すぎる父の死から19年。大地は大日本プロレスのトップ選手になった。今年5月4日、団体最大のビッグイベントである横浜武道館大会では、メインイベントでストロングヘビー級王座に挑戦。敗れはしたが迫力や緊張感、“怖さ”のあるプロレスで観客の目を釘付けにしている。
ただ、そのファイトスタイルや醸し出す雰囲気は“父譲り”というだけのものでもない。
「僕自身はリングを降りた橋本真也しか知らないので。控室でどんな話をしていたのか、リングで向かい合った時にどんな雰囲気だったのかを体感してないんです。影響を受けていないというのがプラスなのかもしれない」
父・橋本真也が息子に買ってきたおもちゃ
リングを降りた橋本真也はどんな父親だったのか。大地がふと思い出すのは、たとえばおもちゃを買って帰宅する姿だ。
「家にいないことが多かったんでね。今思うとツアー(巡業)だったんでしょう。“いい子にしてたか”っておもちゃを買ってきてくれるんです。僕が好きだったウルトラマンティガのメカとかね。でも実は、父が自分用に買ってきてたもので(笑)」
橋本真也の特撮・ヒーロー好きはプロレスファンには有名だ。そういう面も含め、永遠の少年というイメージがある。大地によると、家ではマジンガーZ、グレートマジンガー、ゲッターロボ、デビルマンのビデオをよく見ていたそうだ。それに時代劇も。大地は『子連れ狼』が好きだった。
「父と一緒に見るから僕もいろんなアニメ、特撮が好きになるんですけど、父は僕におもちゃを触られるのが嫌で。いつからか僕用と父親が自分で遊ぶ用と2つ買ってくるようになりましたね。僕がマジンガーZが好きなのも間違いなく父の影響です。世代が違うから友だちとはまったく話が合わないけど(笑)。
マジンガーのシリーズはおもちゃが超合金で、少し高いんです。ある時、父が超合金をくれたんですけど、よく見たらヒザが折れてアロンアルファでくっつけてあった。で、自分は新しい超合金を買ってましたね」