メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
打者・大谷翔平とイチローを比較「誰が見ても対極だが…」2人の打撃論から判明した“全く別の凄み”…シーズン200安打も“現実的な理由”
posted2024/07/03 17:01
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
三冠王への夢が膨らんでいる。
6月を終え、打率.316、26本塁打の成績はナ・リーグ打撃2冠王に位置している。62打点はフィリーズのアレク・ボームを追うこと6点差の3位。日本人初の偉業に向け期待は高まるばかりだ。
その一方で大谷は85試合を消化し102安打を放っている。シーズン162試合で計算すれば194安打。199安打ペースだった6月22日までの勢いからすればややペースダウンを強いられているが、自身初の200安打さえも視界に入る。
「200安打」――。
日本人選手にとってこの大台は、これまではイチローのみが許された領域だった。しかも、彼は2001年のデビューから10年連続で200安打を達成した。この記録はメジャーの歴史において、彼しか成し遂げていない偉大なる金字塔だ。
その「200安打」に大谷が初めて近づこうとしている。誰が見ても打者としてのタイプは両極にあるふたり。その打撃アプローチに共通項はあるのか。世界屈指の安打製造機とパワーヒッターの言葉を元に考えてみた。
イチローの打撃論「4000のヒットを打つには…」
イチローの打撃を紐解く上で印象的な言葉がいくつかある。日米通算4000安打を放った13年8月21日、ピンストライプのユニフォームを身に纏った彼はこんなことを言った。
「4000のヒットを打つには、僕の数字で言うと、8000回以上は悔しい思いをしているんですね。それと常に向き合ってきたことの事実はあるので、誇れるとしたら、そこじゃないかなというふうに思いますね」
マーリンズ時代の16年8月7日、コロラドでメジャー通算3000安打を達成した際にはこんなことも言った。