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0.03秒差の明暗…“史上最高レベル”日本選手権でハードル女王・福部真子(28歳)と2位・田中佑美(25歳)が語った「ライバルたちとの絆」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph bySatoshi Wada

posted2024/07/02 17:02

0.03秒差の明暗…“史上最高レベル”日本選手権でハードル女王・福部真子(28歳)と2位・田中佑美(25歳)が語った「ライバルたちとの絆」<Number Web> photograph by Satoshi Wada

「史上最高レベル」の日本選手権だった女子100mハードル。左から優勝した福部真子、3位の寺田明日香、2位の田中佑美

「私はまだ25歳で、これからも競技を続けます。(パリ後の)オリンピックも来ますし、オリンピックが陸上の全てではない。もっともっと強くなれるように頑張ります」

 田中はレース後にこう話していたが、できれば、今夏パリでトラックを駆ける田中の姿が見たい。

「12秒台の世界」の先駆者となった寺田

 そして、2位に終わり肩を落とす田中に真っ先に駆け寄ったのが、3位の寺田だった。

 田中が気を落とさないように励ましていたのだろう。優しく抱きしめると、その後も田中の手をとって寄り添っていた。

 そして、田中と共に福部のもとに歩み寄ると、勝者を讃えていた。いつの間にか、寺田の目にも涙が浮かんでいた。

「今回の日本選手権が最後になるかもしれない」

 34歳の寺田にも万感の思いがあった。

 2021年の東京五輪は準決勝進出の快挙を果たしたが、今季は足首を痛め5月のセイコーGGPも欠場していた。ワールドランキングでもパリ五輪の出場圏外に押し出され、今回の日本選手権に最後の望みを託していた。

「やれることはやったので、それが涙に現れたのかなと思います」

 五輪を逃した悔しさはもちろんあるが、寺田もまた予選、準決勝、決勝と12秒台を3本そろえ、力を示した。

 女子100mハードルは、今でこそ6人もの現役選手が12秒台をマークしているが、この活況の状況を作った立役者は間違いなく寺田だ。

 かつて13秒に大きな壁があったが、一度は陸上界を退いた寺田が復帰し、2019年に日本人で初めて12秒台をマークすると、青木や福部、田中が続き、今や12秒台が当たり前となった。

 “最後かもしれない”日本選手権でハイパフォーマンスを見せた寺田には、先駆者としての矜持を見た気がした。

「寺田さん、田中さんや、青木さんがいるおかげで、私も“まだ食らいついていきたい、もっともっと記録を伸ばしたい”というふうに踏ん張れる。もちろんレースの時は、ライバルがいるのはすごく緊張するし嫌だなと思うが、そういうライバルの存在がいないと自分自身成長できない。そういう存在がいることは、すごくありがたいことだなと思う」

 今回、青木は欠場したが、パリ五輪を決めた福部はレース後にこう話していた。

 第三者の勝手な決めつけかもしれないが、ライバルの思いも背負って、福部はパリに乗り込むにちがいない。

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