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172cmの長身&女性誌でモデル挑戦、関西名門大で学生日本一、クラシックバレエ経験も…今季絶好調の女子陸上・田中佑美(25)は何がスゴい?
posted2024/05/31 17:01
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Satoshi Wada
日本の女子100mハードルにおいて、かつて12秒台は夢の記録だった。
それが、2019年に寺田明日香が初めて13秒の壁を突破すると、今では6人を数えるまでになった。世界の壁はまだまだ高いものの、着実に日本国内のレベルも上がってきている。
その中で今季ひときわ好調なのが田中佑美(富士通)だ。
国内初戦となった4月29日の日本グランプリシリーズの織田幹雄記念は、雨に見舞われながらも、日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)らを抑えて13秒00で快勝。
5月12日の木南記念では0.6mの向い風のなか、予選で12秒94をマークし好調ぶりを示した。決勝は次戦に備えて棄権したが、翌週のセイコーゴールデングランプリでも、0.7mの向い風にもかかわらず、自己記録に迫る12秒90で日本人選手トップとなる2位に入った。なかなかコンディションに恵まれないだけに、好条件に恵まれればさらに記録を伸ばせそうだ。
向かい風の中の12秒台も「物足りなかった」
「織田記念、木南記念、セイコーゴールデングランプリを、予選、準決勝、決勝みたいに1つの試合のように捉えていました。木南記念の予選で12秒台が出て、決勝はこの大会(セイコーGGP)のために棄権したようなものだったので、12秒台は絶対、それ以上の記録をと思っていたんですけど、昨年のこの大会で出した自己ベストに及ばず、物足りなかったです」
好記録にもかかわらず、田中は反省しきりだった。
「やっぱり12秒7台が出ないと、パリが鮮明に見えてこないので……」と上を見ているからこそ、物足りなさが残った。
とはいえ、現状では女子100mハードルでパリ五輪が最も近い日本人選手が田中だ。