酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「1番打者・大谷翔平」の特大ホームラン、打点だけでない“3つの魅力”…ただベッツ骨折ドジャースには「オオタニ後の打順どうする問題」が
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byAP/AFLO
posted2024/06/19 17:15
ベッツ離脱で1番打者を任されることになりそうな大谷翔平。記録面からも“新境地”が見られるかもしれない
指揮官は、抜群の長打力がある上に俊足の大谷には、出来るだけ多くの打席を回したいと考える。だから、大谷の打順は初回に必ず打席が回る1~3番に集中している。
近年のMLBでは「2番最強打者」のセオリーが定着している。大谷も2番での出場が一番多い。そしてOPS1.000超というすごい成績を残している。
ついで3番、昨年までのエンゼルス時代はマイク・トラウトと大谷で「2番、3番」を交替で打つことが多かったのだ。
1番はこれまで64試合しか出場していない。しかしOPS.904と悪くない成績を収めている。慣れれば、この打順でも好成績を上げるのは間違いない。
1番打者で変化するだろう“3つの個人成績”とは
1番を打つことで――大谷の個人成績は、かなり変化するはずだ。
まず1つ目は「打点は減少する」。
1試合、4~5打席が回って来るうち、1打席は「走者なし」になるのが確定するから。今年の大谷は、1番を打つベッツの出塁率が高いことを受けて、打点を稼いだ面がある。ただ、何度も紹介しているが、MLBでは「打点」は運の要素が多いとして、あまり評価されない。言い換えれば、打点が減ることは問題視されない。
その代わりに「得点」、つまり本塁を踏む回数は増えるはずだ。
実はMLBで得点は、打点よりも評価が高い。なんといっても野球は「より多く得点を挙げたチームが勝つ」ゲームだから。どんな形にせよ、得点が多い選手は評価が高くなる。大谷は現時点で57得点とナ・リーグトップ。タイトルではないが、これはぜひ狙いたいところだ。
2つ目は「安打数も増加する」。
なんといっても1番打者は打席数が多いから、安打数も当然増える。
現時点では、昨年の首位打者であるパドレスのルイス・アラエスが98安打を打って1位だが、大谷はこれに次ぐ2位の91安打。最多安打もタイトルではないが、イチローはリーグ最多安打を7回も記録している。今季の大谷はイチロー以来の最多安打、さらには日本人ではイチローしか記録していない「シーズン200安打」も狙えるだろう。
そして、打席が増えるということは、本塁打を打つチャンスも増えることでもある。
「ひらめきと選球眼」を使い分けるのではないか
もう1つ、1番打者に求められる「出塁率の高さ」である。