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「厳しく言えば…勘違いしちゃいけない」久保建英と堂安律は“試合後コメント”でもシンクロしていた…TV中継には映らなかったシリア戦のウラ側
posted2024/06/14 17:25
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
このやり方があったかと、見ていて思わず膝を打つ新布陣だった。6月11日に広島で行われた北中米W杯アジア2次予選のグループリーグ最終戦。日本はシリアに5-0で圧勝し、2次予選を史上初の全勝&無失点で終えた。
6日に敵地で行われたミャンマー戦に続いての3-4-2-1システム。2試合とも5-0というスコアが示す通り、3バックで輝きを放った選手は何人もいる。中でも日本代表の戦闘能力を一段階押し上げるための新機軸となるポテンシャルを感じさせたのは、右ウイングバックの堂安律(フライブルク)と右シャドーの久保建英(Rソシエダ)のレフティーコンビだ。
日本はミャンマー戦でも同じ3バックで戦ったが、その時の右ウイングバックはDF菅原由勢。堂安は1列前の右シャドーでの先発で、久保は右太もも裏が万全ではなかったためベンチ外だった。
そして迎えたシリア戦。日本はFW上田綺世の先制ゴールで1-0とリードしていた前半19分、GK大迫敬介からフィードを受けた左ウイングバックのMF中村敬斗が中央に位置取っていた久保にパス。久保はドリブルで持ち上がり、右サイドの堂安に預けると、堂安はドリブルしながら対峙するシリアDF2枚とGKを冷静に見て、左足でニアを抜く鋭いシュートを決めた。
ゴールの瞬間、久保と堂安はシンクロしていた
この場面について堂安は、「ビルドアップで敬斗のところから建英が空くというのは練習からやっていた。ウイングバックに逆足がいるのはそこがメリットだと思う。シュートシーンに関しては、GKが確実にファーを警戒しているので、DFの股かニアに速いシュートを通せば入るかなという感覚があった」と振り返った。
久保の狙いも堂安の考えとシンクロしていた。
「彼(堂安)が基本的に中にカットインしてくるので、僕としてはあまり彼に近づきすぎず、浮いたポジションで受けてターンしようと考えていた。僕がウイングだったらボールが欲しいので、彼が高い位置を取っている時はあまり考えずに簡単に前を向いてパスを出すことを意識していた」
背番号10と20が、互いのフィーリングの細部まで理解し合いながら生み出したチャンスから2-0とした日本は、その3分後の前半22分にも、立て続けに得点を重ねた。堂安の一撃で落ち着きを取り戻せていないシリアDFに対して、久保が今度は左シャドーのMF南野拓実との連係を選択し、相手オウンゴールを誘発した。浮かび上がる攻撃のアイデアをピッチ上で次々と表現する久保のプレーに、シリア守備陣は対応が追いつかなかった。