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“サプライズ招集”佐野航大20歳にもチャンスあり…パリ五輪代表をつかむのは誰か? アメリカ遠征メンバーから分析する「サバイバルの最新序列」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2024/06/02 11:05
オランダ移籍1年目で公式戦6ゴールをマークした佐野航大(NEC)。アメリカ遠征を足がかりに、パリ五輪代表に滑り込むことができるか
ひとつ目は「スペシャリストとしての存在感」を発揮することだ。チーム戦術を遂行したうえで、得点につながるビッグプレーを見せる。自身が生きるポジションで確実に仕事をする、つまりはスペシャリストとして仕事ができる選手は、どんな監督にとっても魅力的だ。中3日の日程で2試合を消化する今回のU-23アメリカ代表戦で、「個」の力で目の前の相手を剥がす、守備組織を打開できるところを見せた選手が、パリ五輪に大きく近づく。
ふたつ目は「ポリバレントな資質のアピール」である。
限られた人数で戦術的なバリエーションを作り出し、出場停止などの事態に対応していくためには、複数ポジションに対応できるタレントは必須だ。
“サプライズ招集”佐野航大にもチャンスあり
ここで注目されるのが20歳の佐野だ。
所属先では左ウイングを主戦場としているが、中盤の攻撃的なポジションや右サイドでも起用された。4-3-3ならインサイドハーフにも適応する。ディフェンスでもハードワークできる。
たとえば、彼の立ち位置を変えることで、選手交代をせずに戦術を変更することも可能だ。今回が初めてのU-23代表招集であり、「サプライズ」とも言われたが、18人で戦う五輪にふさわしいタレントである。
あとは、佐野自身がピッチ上でどんな答えを見せるのか、だ。
最終ラインのOA招集は「かなり難しい」
アタッカー陣の選考は、豊富な人材を絞り込む作業である。それに対してセンターバックは、オーバーエイジの招集が求められるポジションと言っていい。
候補にあげられたのは、日本代表として国際経験を積んでいる谷口彰悟、板倉滉、町田浩樹らである。しかし、彼らは6月に北中米W杯アジア2次予選を戦う日本代表に選出されている。パリ五輪出場について所属クラブとの調整に苦慮しているのが理由で、ここから状況が好転するとは考えにくい。
JリーグからCBを選ぶことは可能だが、パリ五輪の開催中もリーグ戦は行なわれている。大岩監督が鹿島アントラーズで采配を振った当時の選手として、昌子源や植田直通の名前がオーバーエイジの候補として報道されたこともある。しかし、昌子が所属するFC町田ゼルビア、植田が在籍する鹿島は、J1で首位争いを演じている。クラブ側からすれば、戦列を離れてほしくないのが本音だろう。