パリ五輪に出場するには、国内での争いの前に、有効期間内に参加標準記録の12秒77を突破するか、ワールドランキングで出場圏内（ターゲットナンバー40）に入らなければいけないが、田中は日本人最上位の33位に付けている。

「（ワールドランキングで五輪に出場するための）ポイントに関して、国内シーズンで焦らなくていいように、ヨーロッパとオーストラリアを回ってきました」

　こう話すように、セイコーGGPの2位や昨年のアジア大会で3位に入った実績も大きいが、冬季には海外遠征し、室内のレースや大会のカテゴリーが高いオーストラリアのレースで着実にポイントを上げたことで初の五輪に近づいた。

©Satoshi Wada

「気持ち的には常にギリギリです」と話すが、パリ五輪の出場圏内で新シーズンを迎えたことはパフォーマンスにも好影響をもたらしているのだろう。

バレエ経験も有…学生時代の憧れは「タカラジェンヌ」

「クラシックバレエをやっていたので、人前で踊ることや舞台に立つことは昔から好きでした。レース前の選手紹介で特別何かパフォーマンスができるタイプではないんですけど」

　こう話す田中は、かつては宝塚に憧れ、受験しようと願書を取り寄せたこともあったという。「結構周りを気にしてしまい、緊張してしまうタイプ」と言うが、注目を集めることは苦にしない。むしろ力に変えられる選手なのだろう。このオフには「陸上を見たことがない人に興味を持ってもらえる良い機会だと思って」と、複数のファッション誌でモデルに挑戦し、競技以外でも度々話題になった。

　モデルをこなせるほどの長身は、ハードル種目では武器になると言っていい。

　大阪生まれの田中が一躍全国区で名前を知られるようになったのは高校時代。高校2年、3年とインターハイを連覇し、世界ユース選手権やU20世界選手権といった国際大会にも出場した。その飛躍について、中学から高校でハードルの規格が変わったことがターニングポイントになったという。

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