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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「イノウエはミスを犯した。だが…」英国人記者も興奮したネリ戦、井上尚弥“衝撃の初ダウン”「批判するのはおかしい」「PFP1位はやはりイノウエだ」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/07 17:04
難敵ルイス・ネリを撃破した井上尚弥(31歳)。34年ぶりの東京ドーム興行を見事なKO勝利で締め括った
ネリ戦を見て、私は井上こそがパウンド・フォー・パウンド(PFP)でもNo.1のボクサーだと改めて感じました。
昨夏、同時期に試合を行ったテレンス・クロフォード(アメリカ)と井上の戦いぶりはどちらも最高級だったのですが、クロフォードが戦ったエロール・スペンスJr.(アメリカ)の方がフルトンよりも格上の対戦相手だったという理由でPFPではクロフォードを上に据えました。昨年12月、まず勝機はないように感じたマーロン・タパレス(フィリピン)を井上がKOした後でも、まだクロフォードが上でいいと思いました。ただ、スーパーバンタム級では最も危険な選手と目されたネリを沈めた井上の最新の勝ち星は評価されていいでしょう。
2020年代に入り、井上はこれが8戦目ですが、クロフォードは4戦のみ。パフォーマンスの質に加え、試合頻度の面まで考慮し、井上こそが現役ベストファイターと認められるべきだというのが私の意見です。
「アメリカやイギリスに来る“必要”はない」
井上とネリが激闘を繰り広げた東京ドームは素晴らしい雰囲気になっていましたね。ラスベガスのビッグファイトではメインイベントまで場内がガラガラなんてことはよくありますが、東京ドームはアンダーカードの段階で4万人以上の観客で埋め尽くされていました。これほど見事な空間なのだから、井上は今後も東京ドームを本拠地のようにして戦い続けてほしいと願わずにはいられません。
先日話題になっていましたが、今ではもうアメリカは1960、70年代のようなボクシングの絶対の中心地ではなくなりました。個人的には井上にアメリカでも戦ってほしいし、イギリスにもまた来てもらいたいですが、その“必要”はありません。
井上は日本を舞台に多くを成し遂げ、大金を稼ぎ、優れた技量を見せ続けているのだから、これからも自身の望む場所で戦い続けるべきなのでしょう。
◆後編では、ネリ視点で井上尚弥との戦いをレビューする(近日公開)