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「イノウエはミスを犯した。だが…」英国人記者も興奮したネリ戦、井上尚弥“衝撃の初ダウン”「批判するのはおかしい」「PFP1位はやはりイノウエだ」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byJIJI PRESS

posted2024/05/07 17:04

「イノウエはミスを犯した。だが…」英国人記者も興奮したネリ戦、井上尚弥“衝撃の初ダウン”「批判するのはおかしい」「PFP1位はやはりイノウエだ」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

難敵ルイス・ネリを撃破した井上尚弥(31歳)。34年ぶりの東京ドーム興行を見事なKO勝利で締め括った

 ただ……結局のところ、すべては必然だったのでしょう。初回のピンチで致命的なダメージを受けなかった井上は2回以降、一段上のスキルを誇示し、ネリはそれにまったくついていけませんでした。技術だけでなく、井上にはパワーまで備わっているのですから、誰も対抗し切れないのは当たり前のことでもありました。

 全体的にこの日の井上からは、強烈なKOで試合を終えたいという意気込みが感じられました。日本で尊敬される存在だった山中慎介との間に因縁があった“悪役”のネリをはっきりとした圧倒的な形で成敗したかったのでしょう。4回、相手を挑発するようなパフォーマンスを見せたのもその一環だったんじゃないかと思います。

「モハメド・アリもダウンを喫している」

 一部のファンの意見とは違うのかもしれませんが、個人的には今戦は井上のキャリアで最高級のパフォーマンスだったと思います。ソーシャルメディアを見れば、ダウンを喫したがゆえに批判的な意見を目にするのでしょうが、それは馬鹿げていますよ。

 モハメド・アリ(アメリカ)は世界ヘビー級王者になる前、格下の相手との対戦でダウンを喫したことがありました。シュガー・レイ・レナード(アメリカ)もジャーニーマンのケビン・ハワード(アメリカ)にダウンさせられたことがありました。ソーシャルメディア上の人々は常に完璧なものを求めますが、どんな偉大なボクサーでもピンチを迎えることはあり得るということ。井上は今回、彼の階級ではハイレベルのパンチャーと対戦し、ダウンを喫した後はその選手をほぼ完封して見せたのです。

 昨夏のフルトン戦こそが井上にとってのベストパフォーマンスだと考えていますが、ネリ戦もキャリアのトップ5に入るというのが私の見方です。ミスを犯してもすぐに修正し、適切なアジャストメントを行った上で強敵をフィニッシュしたのだから、採点をしろというならAプラスを与えますよ。

【次ページ】 「やはりイノウエがPFP1位にふさわしい」

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