猛牛のささやきBACK NUMBER
〈秋田凱旋〉オリックス吉田輝星「覚醒」への現在地…日本ハム戦だけ弱いのは「優しすぎるから?」「ここから絶対抑え込んでやります」
posted2024/05/08 11:04
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Hideki Sugiyama
「楽しみですね」
故郷の秋田で5月8日に行われる2年ぶりの凱旋試合を、吉田輝星は心待ちにしていた。
「久しぶりに秋田に行けるので、知り合いの人に会ったり、そういう楽しみもあります。今季はいい場面でマウンドに行かせてもらっているので、マウンドに上がったら勝手に気持ちは入りますけど、そこはやっぱり(秋田では)いつもよりバチッと入ってくるとは思うので、その入ったスイッチ通りに投げられればいいかなと思います」
ヒーローの凱旋
6年前の夏、金足農高のエースとして甲子園準優勝の原動力となり、日本中に“金農旋風”を巻き起こした。同じ秋田県出身の小木田敦也が「秋田県民で知らない人はいない」と言う存在だ。
前回の凱旋登板は、日本ハムにいた2022年6月21日。この時は先発だった。
「あの時はまだ3回目の先発で。4回まで完璧なピッチングしてたんですけど、5イニング目に打たれた。今年は完全にリリーフなので、対戦する3人に短期集中というか。とりあえず抑えられれば」
言葉にはどことなく自信が漂う。一歩一歩、その根拠となる登板を重ねてきたからだ。
キャンプからの取り組み
昨年はわずか3試合の登板に終わり、オフに黒木優太とのトレードでオリックスに移籍した。キャンプ中から中垣征一郎巡回ヘッドコーチやブルペン担当の厚澤和幸投手コーチのもと、体の使い方やフォームを見直し、オープン戦で好投を続けて開幕一軍入り。開幕後も結果を積み重ね、勝ち試合でのリリーフを任されることが多くなった。
吉田の代名詞である伸びのあるストレートが復活しつつあり、制球力も向上している。
「まっすぐの状態はまだ納得いくところまでは来ていないですけど、質は変わったかなと思います。例年より球速は遅くても、三振や空振りが多い。バッターの反応は去年までと違うなと感じます。厳しいところにいったら見逃してくれるし、今までだったら気持ちよくスイングされていた場面でも、振り切れずに、差し込んだファールになったり」
変化球の感覚もよくなっている。
「カーブは久しぶりに投げ始めたんですけど、例年よりとんでもなくストライク率が高いし、困った時にシュートで刺したり、選択肢が増えているのはすごくいいかなと思います。その活かし方を、自分でもう一回理解しきらないといけないんですけどね。スライダーとかフォーク、チェンジアップ、ツーシームといった球種もコントロールはよくなっていると思う。キャンプで覚えたばかりのフォームなのでまだ波もある中、修正方法を最近少しずつわかってきたような気がします」