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〈秋田凱旋〉オリックス吉田輝星「覚醒」への現在地…日本ハム戦だけ弱いのは「優しすぎるから?」「ここから絶対抑え込んでやります」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/05/08 11:04
新天地のオリックスで奮闘中の吉田輝星
吉田自身は、古巣相手のやりづらさや特別な意識は「まったくない」と言う。
4月27日の試合では、同い年で同期入団の万波中正、田宮裕涼と移籍後初めて対戦した。
万波、田宮との対戦
万波に対しては、最初にカーブを2球続けて追い込んだが、その後フルカウントとなり、最後は外角のカーブが外れて四球。2死満塁となり、4番アリエル・マルティネスに2点適時打を許した。
5番田宮に対しては、7球ストレートを続けた後、変化球を捉えられて左中間に運ばれ2点を追加された。
吉田は2人との対戦をこう振り返った。
「マンチュウ(万波)との対戦は、うーん……いや、楽しかったですよ。2人とも楽しかったです。でも状態がよければ(万波への)最後の球はまっすぐとかで行ったと思います。ユアのは、もうあいつの超ホットゾーンに球が行ってしまったので。
でも(自分の)調子よくないなと思っていたけど、あんなに調子がよくて、全部弾けているユアでも(ストレートが)ファールになっていたので、そこは僕の感覚とのギャップも多少あったのかなと。あの試合に関しては自分が『調子悪い』と思ってしまって、自分で自分を追い込んでいるような感じでした」
「優しすぎる」との指摘に…
現状は吉田自身も理解している。
「ファイターズ以外(防御率が)1点台ですからね。そこはやっぱり心の持ち方とか、変えていかないといけない。まったく意識してないですけど、逆に意識したほうがいいのかもしれないし……」
厚澤コーチからは直接「優しすぎる」と言われた。
「よく言われるんですけど、そんなことないっす。僕はマンチュウにデッドボール当てても、勝負だからしょうがないと思ってるので。当てちゃまずいなとか、インコース行きづらいなとかは、まったくないですね。そこは勝負なんで。相手も、打つのかわいそうだなとか、そんなんありえないんで。
逆にここからは、ファイターズ防御率だけ一番いいっていうふうに、絶対抑えこんでやります。それは前にいたチームだからじゃなくて、1回ガツンとやられたんで、しっかりやり返したいなと」
表情が変わった。
生粋の“野球小僧”に、火がついたようだ。