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本当にネリは井上尚弥の“刺客”なのか? 米記者が断言する“悪童”のリアルな実力「尻込みした挑戦者とは一線を画す」「ドネアほど深みない」
posted2024/05/02 17:03
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Takuya Sugiyama
“悪童”という面ばかりが強調されるが、少なくとも欧米でのネームバリューという点では、ルイス・ネリ(メキシコ)は井上尚弥(大橋)のこれまでの対戦相手でもトップクラスだろう。2019年以降、8試合中6戦をアメリカのリングで行い、2020年には2階級制覇も達成した。
人気ボクサーとまでは言えないものの、一定の知名度はある。昨年2月、カリフォルニアで行ったアザト・ホバニシャン(アルメニア)戦がリングマガジンが選定する年間最高試合に選ばれ、エキサイティングなスタイルを改めて印象付けることにもなった。
「リングマガジンの“年間最優秀選手”を獲得したボクサーと“年間最高試合”を受賞した選手の激突なんて滅多にあることではない」
リングマガジンのダグラス・フィッシャー編集長のそんな言葉通り、5月6日に東京ドームで挙行される井上対ネリは期せずしてリングマガジンが選定する昨年度の“年間最優秀選手”対“年間最高試合の勝者”の激突になった。だとすれば、試合内容に大きな期待がかかるのは当然である。
ネリのボクサーとしての実力は?
こうしてエキサイティングなスタイルこそ知られていても、ネリのボクサーとしての実力がどの程度なのかはあまり語られていない印象もある。
過去に山中慎介(帝拳)、マクジョー・アローヨ(プエルトリコ )、ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)、ブランドン・フィゲロア(アメリカ)といった元世界王者たちとも対戦し、前述通り、バンタム級、スーパーバンタム級の2階級を制した。通称パンテラ(豹)は29歳になった今でも世界トップレベルのボクサーなのか。いったいどの程度の力の持ち主なのか。