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戻ってきた「陽キャ」で強いマルク・マルケス…スペインGP2位、ドゥカティ初表彰台で完全復活=優勝も間近! 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2024/05/01 17:02

戻ってきた「陽キャ」で強いマルク・マルケス…スペインGP2位、ドゥカティ初表彰台で完全復活=優勝も間近!<Number Web> photograph by Satoshi Endo

決勝レース後のセレモニーで前戦に続いて“ゆかいな”ダンスを披露したマルケス。全盛期の明るさが戻ってきた

 今季初めてポールポジションを獲得したマルケスは、前日スプリントレースでの転倒もあり、決勝レース序盤はちょっと慎重な走りとなって4番手に後退。その後、トップを走るホルヘ・マルティンが転倒して3番手へ。このとき、マルティンの転倒でトップに立ったバニャイアとの差は1.5秒差に開いていたが、前を走るマルコ・ベゼッキを抜いてからは一気にその差を縮め、ヘレスの大観衆を興奮させることになる。

「ベゼッキを抜いて、新鮮な空気が当たるようになってからペースを上げることが出来たし、ペッコに追いつけると思った。今日のレースでは、また一歩前進できたと思う。なんたってドゥカティのナンバー1ライダーと最後まで戦えたんだからね」

 ベゼッキのスリップから抜け出したことで、フロントタイヤの温度を下げることが出来たのだろう。それもあってペースアップに成功するのだが、終盤になってペースを上げていくのはライダーのスキルあってのもの。MotoGPクラスでこれまで6回のタイトルを獲得した「絶対王者」の完全復活が近いことを感じさせるレースだった。

幸せなライダーは速くなる

 この数戦を振り返れば、マルケスが本来の姿に戻ってきていることがわかる。ポルトガルGPとアメリカズGPでは決勝レースで転倒したものの、スプリントでは2戦連続で2位を獲得。スペインGPではポールポジションを獲得し、スプリントでは転倒再スタートで6位に終わったものの、一時はアメリカズGP決勝に続いて2度目となる首位を走行した。

 着実に階段を駆け上がるマルケスが、ドゥカティに乗り換えてからの4戦を振り返った。

「開幕前のマレーシア、カタールでのテストの時とはまるで違ってきた。あの頃はドゥカティの乗り方を理解しようとしていたが、いまは自分のライディングスタイルにバイクを少しずつ合わせ、その妥協点を見つけようとしている。今大会は最初から自信ある走りが出来た。とにかく小さな一歩だが、コースに出るたび常に前進している。いまはまだいろいろ試している状態だけど、自分に何が必要なのかがわかってきた」

 ヘレスは2020年にクラッシュして骨折を喫し、それをきっかけにタイトルから遠ざかることとなった因縁のサーキットだったが、マルケスは完全復活の日が近づいていることを強く感じさせるコメントも残した。

「今日の2位は僕にとっては特別なもの。シーズン序盤は苦戦したけど、4戦を終えてトップとの差がたった32点だなんて驚いてしまう。4年前、ここから悪夢が始まった。まだその状況から完全に抜け出していないが、こうして良いニュースを届けられるようになった。いまは楽しんでバイクに乗れていてハッピー。幸せなライダーはもっと速くなると思う」

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