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山本由伸25歳と「ドジャース捕手の相性問題」“打てるが強気すぎスミスより守備型バーンズ”の現状…DH大谷翔平も“パズルの要素”なワケ 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/05/02 06:02

山本由伸25歳と「ドジャース捕手の相性問題」“打てるが強気すぎスミスより守備型バーンズ”の現状…DH大谷翔平も“パズルの要素”なワケ<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

開幕して1カ月強が過ぎた山本由伸。ドジャースでの投球内容を精査する

 29歳のウィル・スミスは、2023年WBCではアメリカ代表で出場し、通算打率.267、OPS.845。当代屈指の「打てる捕手」ではあるが、やや弱肩で盗塁阻止率、フレーミングでも優秀との評価はない。昨年、リード面では新人投手ボビー・ミラーの持ち味を引き出したとされるが……。

 これに対して34歳のオースティン・バーンズもWBCのメキシコ代表。ただ通算打率は.219、OPS.665。ウィル・スミスより見劣りする。肩はそれほど強くはないが、大エース、クレイトン・カーショウとのコンビで知られる「リード、守備のよい捕手」である。

オリックス時代は若月と“黄金バッテリー”だった

 山本由伸はオリックス時代、当初は伏見寅威、若月健矢の2人の捕手と組んでいたが、2021年後半から若月と組むことが圧倒的に多くなった。若月はこのころから「無双状態」になった山本の球種をよく知り、持ち味を生かすリードができるようになったのだ。

 当然ながらMLBでは、そこまでの相方は今のところ、いない。

 山本のここまでの全投球478球のボールの組成についてみていこう。

・フォーシーム183球(38.3%)
 ストライク135(73.8%)空振16(8.7%)安打12、凡打22

・カーブ135球(28.2%)
 ストライク95(70.8%)空振17(12.7%)安打8、凡打7

・スプリッター130球(27.2%)
 ストライク75(57.3%)空振22(16.8%)安打3、凡打15

・カットボール29球(6.1%)
 ストライク19(65.5%)空振4(13.8%)安打1、凡打3

・スライダー1球(0.2%)
 ストライク0(0%)空振0(13.8%)安打0、凡打0

 総投球数478球(100%)
 ストライク324(67.8%)空振59(12.3%)安打24、凡打47

 先発投手のストライク率は60%で合格点。70%に達する投手はほとんどいない。山本由伸の制球力はトップクラスだ。

 フォーシームの平均球速は153.5km/h前後。「山本はMLBに行ったら球は遅い方になる」という有識者がいたが――MLBの平均が152km/h前後とされるから、決して遅いわけではない。またフォーシームのストライク率73.8%は非常に優秀である。

なぜ「カーブ急増、カット減少」しているのか

 NPB時代との投球組成の大きな違いは「カーブが増えて、カットボールが減少した」ことだ。

【次ページ】 なぜ「カーブ急増、カット減少」しているのか

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